セリエAらしい開幕戦に
マルカントニオ・ベンテゴディは、制限エリア以外全席完売。地元の行政当局は「国際的な注目の集まるイベント」と判断して最大限の警戒と交通規制を敷いた。
スタジアム周辺には3時間前にしてかなりの人だかり。試合にはスペインのラジオも来たり、「普段はサッカーを追わないが初めて依頼された」という海外の通信社の依頼を受けたイタリア人記者も来ていた。クリスティアーノ・ロナウド移籍後初の公式戦となったキエーボvsユベントスは、かなりの大騒ぎだった。
そして試合は、両チーム合計5ゴールという点の出入りを除けば、ある意味セリエAらしい緊迫した熱戦だった。先制したユベントスの猛攻に耐え、戦力規模に劣るキエーボが守備を固めつつ相手の弱点を突いて同点、さらに逆転。全員で集中した守備を見せてゴール前に籠城する彼らに対し、ユーベは戦術を変更して強引に守備網をこじ開け、試合終了間際で勝利をもぎ取る。
誰もが7連覇中の王者の圧勝を信じて疑わなかった中、ハードな戦術戦で苦しめられる。これこそがイタリアのサッカー、もとい”カルチョ”である。
キエーボの組織守備は非常に強固だった。ユーベの左を封じるため、右サイドを固めることに注力し、押し込まれれば5バックの状態に変形して守った。「最初から結果が出ている試合などセリエAには存在しない」 。ユーベのマッシミリアーノ・アッレグリ監督は一週間前にそう警戒していたが、まさにその通りの試合展開となったわけだ。