アンドレス・イニエスタがヴィッセル神戸の一員としてJリーグデビューを飾った【写真:Getty Images】
明治安田生命J1リーグ第17節が22日に行われ、ヴィッセル神戸は湘南ベルマーレに0-3で敗れた。だが、神戸にとって今季のホーム最多2万6146人の観客、普段の5倍にものぼる約150人のメディアが集結した一戦は大いに沸いた。
神戸の2点ビハインドで迎えた59分、2人目の交代として元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタがJリーグのピッチに立った。コンデションは決して万全ではなく、チームメイトとの連係も未成熟なのは明らかだったが、相手の急所を突くスルーパスなど随所に持ち味を発揮した。試合終盤にはコーナーキックに合わせる左足ダイレクトボレーでJリーグでの初シュートも放った。
試合後、異例の記者会見という形で取材に応じたイニエスタは「僕個人としては今日デビューできたこと、観客に温かく迎え入れられたことに対し、すごく喜ばしい日でした」と語ったが、「チームとしては負けてしまったことが非常に残念で、僕は負けることが好きではないので」と悔しさも覗かせた。
それでも「これがこれから始まる素晴らしい物語の第一歩であることを確信しています」とJリーグでの新たな挑戦に手ごたえも感じているようだ。「今日プレーしてみて、非常にフィジカルが強く、アビリティの高い選手が多くて、Jリーグのレベルは非常にいいものだと思いました」と日本のリーグのイメージも固まりつつある。
チーム内では「今までずっとやってきた役割」を担うと考えており、「中盤から攻撃にかけての要になるようなプレーをしていきたい」とイニエスタは言う。
湘南戦では「チームが負けている時に入るのは難しいですし、周りの選手達もすでに何十分もプレーしている中で、さらにまだ呼吸が合っていないチームに入るのは難しかったところはあった」が、「できるだけ前を見て、攻撃を組み立てること、そして縦へのパスだったり、そういったものを探すようなプレーを心がけて」プレーし、可能性を感じさせるチャンスも作った。
コンディションやチームメイトたちとの連係の向上にも「これからの練習、そしてこれからの試合であらゆる面でより良くなっていく」と確信を持っている。
次戦は28日、ホームでの柏レイソル戦。イニエスタは「仲間たちの練習だったり、自分のコンディションを上げていくことに時間をかけて、90分かはわかりませんが、できるだけ長い時間、そして今日よりもいいプレーをできることは確信しています」と力強く語った。スペイン代表やバルセロナの一員として数々の栄光を勝ち取ってきた名手は、日本でも変わらぬ輝きでファンを魅了するための準備を続けていく。
(取材・文:舩木渉)
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