イングランド代表のハリー・ケイン【写真:Getty Images】
ロシアワールドカップは現地時間15日に決勝が行われ、クロアチアを破ったフランスの優勝で幕を閉じた。大会得点王に贈られるゴールデンブーツ賞は、計6ゴールを記録したイングランド代表のFWハリー・ケインが受賞している。
イングランド人選手の得点王は1986年大会のゲーリー・リネカー氏に続いて32年ぶり2人目。計6得点もそのリネカー氏に並び、イングランド人選手の最多タイ記録となった。
しかし、ケインの得点王に対してはやや厳しい評価もみられる。米『Yahoo!』の評論家ヘンリー・ブッシュネル氏は「ハリー・ケインがワールドカップ史上最も印象に残らないゴールデンブーツを受賞」と論評。伊紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』も「ハリケーンはあまりにも早く収まった」と否定的な見方を伝えた。コロンビア誌『セマナ』は「ハリー・ケインはワールドカップ史上最低の得点王か?」と論じている。
その理由は様々だが、ひとつは大会序盤にゴールを量産しながら明らかに調子を落としていったこと。グループリーグの最初の2試合で5ゴールを記録したケインだが、その後は決勝トーナメント1回戦のコロンビア戦でPKによる1点を加えたのみで、準々決勝以降の3試合では無得点だった。
得点を記録した相手を見ても、グループリーグで5点を奪ったのはチュニジアとパナマ。得点ランク2位タイの4ゴールを記録したベルギーのロメル・ルカクが全得点を同じ2チームから奪っていることを考えても、組み合わせに恵まれた部分もあったかもしれない。
得点の内容もケインに対する冷めた見方の理由のひとつ。今大会は全体的にセットプレーからの得点が多い大会となったが、ケインも6得点中3得点がPK。2点はCKから押し込んだもので、オープンプレーからの得点は1点のみ。その1点は、味方のシュートがケインの足に当たってコースを変えるという“偶然”のゴールと言うべきものだった。
なお、準々決勝以降でゴールを決めることなく得点王になった選手は24年ぶり。1994年大会ではグループリーグのカメルーン戦で1試合5得点を記録したロシアのオレグ・サレンコが、計6得点でブルガリアのフリスト・ストイチコフと並んでの得点王に輝いた。それ以外では、4得点で6人の得点王が生まれた1962年大会で、そのうち2人がグループリーグのみで得点を記録したという例があったのみだ。
いずれにしても、ケインが今大会最多のゴール数を記録し、イングランドの28年ぶり4強進出という好成績に貢献したことは確か。所属するトッテナムでもゴールを量産する若きエースは世界の舞台でも結果を残した。
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