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フランスの武器はエムバペだけにあらず。ジルーの戦闘力がウルグアイ撃破の鍵【西部の目/ロシアW杯】

 キリアン・エムバペを活かした高速カウンターを武器に勝ち上がってきたフランスだが、ベスト4進出にはオリビエ・ジルーの存在も鍵となりそうだ。堅守を持ち味とするウルグアイの壁を打ち破るには、ジルーの戦闘力を使って先制する必要がある。そうすれば、エムバペのスピードもさらに猛威をふるうだろう。(文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

大きな選手は物事をシンプルにする

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オリビエ・ジルー【写真:Getty Images】

 ジェフ市原の監督だったころ、イビチャ・オシムは当時の祖母井秀隆GMに「何で、小さな選手ばかり獲ってくるんだ」と文句を言ったことがあるそうだ。オシム監督は小さくて俊敏で賢い選手が好みだったが、大きな選手の価値も軽視していない。日本代表監督のときも巻誠一郎や我那覇和樹をFWに起用していた。

 長身で頑健なFWは物事をシンプルにしてくれる。ボールを支配し、パスをつなぎまくっても、どうしてもゴールを割れない。そういう試合は今回のワールドカップでも少なくない。守備側はがっちり引いてスペースを与えくれないからだ。ただ、どんなに守備を固めても空中は空いている。蹴れる場所からハイクロスをペナルティーエリアへ入れ、長身のFWがシュートする、あるいは近くへボールをノックダウンさせれば、それだけでチャンスを作ることができるのだ。

 オリビエ・ジルーは193cmの長身、プロレスラーのような頑健な体格。当然、空中戦は強い。ポストプレーも強い。左足のシュートはパワフルで、アルゼンチン戦でのキリアン・エムバペへのアシストのような繊細なパスを出せる。ただ、どちらかといえば不器用なタイプだろう。大きな選手にそんなに器用な選手はいない。リオネル・メッシのようなドリブルはできない。

 日本人はサイズの大きさに憧れを持つ半面、「ウドの大木」に代表されるように大男への不信感も根強い。サイズに頼らずにサッカーをやることが国是のような意見すらある。ただ、ないものをねだっても仕方がないが、あるものは使ってもいいはずである。フランス代表はある意味容赦なくジルーを使って対戦相手に圧力をかけている。

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