曖昧な調子で過ぎた45分間
王の地位を失った。
27日に行われたロシアワールドカップ・グループリーグF組の最終戦。決勝トーナメント進出をかけて、ドイツ代表は韓国代表と戦った。仮にこの試合を引き分け以下の結果に終えたとしても、他会場のメキシコ対スウェーデン戦の結果などの条件次第では、突破の可能性はあった。しかし、ここはやはり出来る限り多くのゴールを奪い、自力でトーナメント進出を決めたいところだ。誰もがドイツのゴールラッシュを期待したはず。
ところが、ドイツ代表が試合開始からアクセルを踏んでスピードを上げていくことはなかった。相手は韓国だ、普通にプレーしていればその内ゴールは決まる。そんなゆったりとしたテンポで、ポゼッションを高めていった。
だが、ダイナミズムに欠けた。韓国が構築した守備ブロックの周りでパスは回ったが、ゴールは遠かった。高い位置を取った右SBヨシュア・キミッヒがクロスを入れては、何度も弾かれるといったように、単調な攻めを繰り返すドイツ。マルコ・ロイスやレオン・ゴレツカに、所属クラブで見せるような鋭い仕掛けも見当たらない。
もちろんチャンスが全くなかったわけではない。14分にはショートカウンターでゴールに迫ったが、ゴレツカの右からの折り返しは、少し軽率だった。ファーに走り込んだティモ・ヴェルナーには届かない。DFに当たってコーナーキックとなった。33分にはニクラス・ズーレからの縦パスを、ゴレツカがダイレクトでロイスに叩いてゴールに迫った。最後はヨナス・ヘクターとヴェルナーも絡んだが、ゴールを割るには至らず。
こんな曖昧な調子で、前半の45分間は過ぎ去った。そして、この一本調子は、後半に入っても変わらなかった。
50分にスウェーデンがメキシコ相手に先制すると、状況は一変した。ドイツは2位から3位に転落。このままでは史上初のグループリーグ敗退が決まってしまう。試合後にヨアヒム・レーブ監督は「我々はスウェーデンがメキシコに対してリードしていることを知った」と述べている。
「それに対してアクションを起こす必要があった。後方にスペースを残し、あらゆるリスクを負って前に出る必要があった」