西野朗【写真:Getty Images】
【日本 2-2 セネガル ロシアワールドカップ・グループリーグH組第2節】
日本代表は現地時間24日、ロシアワールドカップ・グループリーグH組第2節でセネガル代表と対戦し、2-2で引き分けた。
その采配には、勝利への執念が表れていた。1-2とビハインドを背負って迎えた72分だった。西野朗監督はこの日最初の交代カードに本田圭佑を選んだ。3分後には岡崎慎司を投入し、ゴールを奪う意図を明確に示した。そして78分、乾貴士の折り返しに反応した本田が左足で流し込み、同点に追いついた。
サディオ・マネを擁するセネガルが相手である。ドロー決着でも十分な成果だった。しかし、西野監督は『勝てる』と考えていた。選手たちも同じだったのだろう。後ろ向きな選択はなく、視線は常に相手ゴールへと向けられていた。87分、3人目の交代選手として宇佐美貴史が呼ばれた。「抑えにそういう(守備的な)選手を、というチョイスはあったが」と指揮官は明かしているが、ガンバ大阪時代の愛弟子を投入することに迷いはなかった。本田、岡崎というカードも含め、起用したベンチメンバーはいずれも攻撃的な選手。全ては「勝ちに行く」ための采配だった。
「自分中ではベストな切り方だった。3人とも得点を取りに行くための交代。圭佑はああいう形で決めてくれた。宇佐美に関しては違うカードも考えていたが、勝ちきりたい、引き離したいと。ワンチャンスが貴史にあると(判断した)」
こうした采配ができたのも先発した11人がセネガルと互角に渡り合ったからこそ。「スタートのメンバーがリズムよくやっていたし、後半なかばも自分たちの時間続いた」(西野監督)。だからこそ、「オフェンシブなメッセージを最後まで送り続けたいというチョイスだった」。
西野監督といえば、ガンバ大阪時代の印象が強い。超攻撃的なカラーで、何点奪われようとそれ以上のゴールを決めて勝つチームを作り、マンチェスター・ユナイテッドが相手でも一歩も引かずに打ち合った。加えて、手元にある選手の持ち味をチームの力に昇華させることができる監督でもある。
セネガルとの一戦は、スタメンが粘り強く戦うことで可能性を広げた。そして、虎視眈々と出場機会を狙う選手の中から、西野監督は試合を決められるキャラクターを選んだ。最終的には2-2の引き分けに終わった。勝ち点1を得られたこと自体に価値があるが、最後まで勝利を目指してあと一歩のところまで迫ることができた点もポジティブに捉えていいはずだ。
「トップで通過できる状況はある」と西野監督は言う。グループ最終戦のポーランド戦も、狙うは勝利のみだ。
(取材:植田路生、文・構成:編集部)
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