日本戦の開始3分で退場処分となったコロンビア代表MFカルロス・サンチェスに殺害予告【写真:Getty Images】
現地時間19日に行われたロシアワールドカップのグループリーグ初戦で、日本代表がコロンビア代表を2-1で下した。
この試合の開始3分、コロンビアのMFカルロス・サンチェスが、ペナルティエリア内で日本代表MF香川真司の放ったシュートを腕で阻止してレッドカード一発退場に。試合の流れを大きく変えるプレーとなり、この反則によってもたらされたPKが日本の勝利のきっかけになった。
ハンドを犯したカルロス・サンチェスのSNSには、励ましや後押しのコメントも寄せられたが、中には危険なものもあったようだ。英紙『ガーディアン』などは、SNS上で同選手に対する殺害予告があり、コロンビア警察が捜査に乗り出すと報じている。
その内容は「もしアンドレス・エスコバルがオウンゴールして殺されたのなら、カルロス・サンチェスも殺されるべきで、その体は晒される」というもの。SNS上ではこの予告に賛同も集まっている。そしてコロンビアには過去の苦い歴史があり、その再現が起きてしまうのではないかという懸念も生まれている。
というのも、先述の投稿内容にもあるように、コロンビアではワールドカップでオウンゴールを決めてしまい、大会後に殺害された例があるからだ。それが当時27歳だったエスコバルである。
1994年のアメリカワールドカップに、コロンビア代表の守備の中心選手として出場したエスコバルは、グループリーグ初戦のルーマニア戦を1-3で落とした後の第2戦・アメリカ戦に先発出場した。だが、35分にオウンゴールを献上してしまい、チームも1-2で敗戦。コロンビアは決勝トーナメント進出も逃した。
失意の敗退直後、エスコバルはチームの解散後にコロンビアへと帰国した。そしてまだワールドカップが終わっていなかった1994年7月2日の深夜、バーから出たところを襲撃されて12発の弾丸を撃ち込まれて死亡した。
この出来事は「エスコバルの悲劇」として語り継がれ、カルロス・サンチェスも同じような被害に遭ってしまうのではないかと強く懸念されている。とはいえエスコバルが生きていた1990年代前半、麻薬や暴力がまん延していたコロンビアの治安は最悪だったが、もはやそのようなことはなく、治安も劇的に改善されている。
それでもコロンビア警察は捜査のために特別なサイバー犯罪対策チームを動員し、殺害予告を投稿した犯人の特定や、脅威の排除に取り組むという。
なお、カルロス・サンチェスは日本戦のレッドカードの影響で24日のポーランド戦は出場停止となる。28日に予定されているグループリーグ最終戦のセネガル戦で汚名返上となるだろうか。
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