リオネル・メッシ【写真:Getty Images】
ロシアワールドカップ・グループリーグD組第2節が現地時間21日に行われ、アルゼンチン代表はクロアチア代表に0-3で敗れた。
前半にいくつかあったチャンスを生かせずにいると、後半に3点を叩き込まれ完敗を喫した。頼みの綱であるリオネル・メッシはこの日も無得点に終わり、調子の上がらないチームを救うことができなかった。
メッシのキャリアは輝きに満ちている。バルセロナではラ・リーガ、UEFAチャンピオンズリーグなど32個のタイトルを獲得。個人としてもバロンドールを5度受賞した。クラブレベルでは何もかも手にしたと言える。ただ、そんな彼に唯一欠けているのが、アルゼンチン代表でのタイトルだ。2005年のワールドユース(現U-20ワールドカップ)や2008年の北京五輪では優勝を果たしたが、これらは年代別の大会。A代表では頂点に立てていない。
05年、当時監督だったホセ・ペケルマンに抜擢され、代表デビューを飾ったメッシ。06年ドイツワールドカップに参戦すると、ファン・ロマン・リケルメが中心のチームでアクセントに。セルビア・モンテネグロ戦でワールドカップでの自身初ゴールを決めるなど見せ場を作ったが、チームは準々決勝で敗退した。
07年のコパ・アメリカでは主力に名を連ねたが、決勝でブラジルに敗れて準優勝。10年、南アフリカワールドカップで頂点を目指したが、前回大会同様に準々決勝でドイツに敗れてベスト8に終わった。11年コパ・アメリカでも準々決勝止まりと、アルゼンチン代表ではことごとく歓喜と縁がなかった。
それでも、14年ブラジルワールドカップでは世界の頂点にあと一歩のところまで迫った。決勝の相手は過去2大会で行く手を阻まれていた。3度目の正直へメッシは奮闘した。しかし、延長戦の末に敗れた。大会4ゴールを挙げるなど獅子奮迅の働きを見せた10番は、ドイツが喜ぶ姿を見つめるしかなかった。
さらに15年のコパ・アメリカでも決勝で敗れ、翌年のコパ・アメリカ・センテナリオでも準優勝。大会後、メッシは代表引退を示唆したが撤回。ロシアで悲願を達成しようともう一度、白と水色のユニフォームに袖を通すことになった。
代表レベルにおけるシルバーコレクターのレッテルを剥がすには勝つしかない。これまで以上に勝利への執念を燃やして臨んだのが、今回のロシアワールドカップだった。しかし、第2節を終えて1分1敗と厳しい戦いを強いられている。初戦のアイスランド戦ではPKを止められ、続くクロアチア戦では蹂躙される仲間たちを救えなかった。
ナイジェリアとの最終節に勝てばグループリーグ突破の可能性は十分にある。しかしアルゼンチンが、メッシが目指すのはベスト16ではなく優勝のはず。チームとしてのピークがこれから訪れるのなら話は別だが、低調なパフォーマンスが続けば優勝など無理だろう。
メッシが全てのチームだ。10番が輝かなければ何も生まれない。果たして、メッシは勝負のナイジェリア戦でどのようなプレーを見せるだろうか。代表キャリアの集大成となるであろう大会を、グループリーグ敗退で終えるわけにはいかないが…
【了】