とにかく勝利。グループBは大混戦
スペインはやはり強かった。現地時間20日に行われたロシアワールドカップのグループステージ第2節、イラン戦は、彼らの強さを再確認するゲームとなった。
グループ初戦でポルトガルと3-3で引き分けていたスペイン。20日の試合の前には、ポルトガルがモロッコに1-0で勝利したことで勝ち点を「4」に伸ばしており、同「3」のイランを暫定的に上回っていた。
決勝トーナメント進出のためにポルトガルとイランに離されるわけにはいかない。スペインがグループリーグ最終戦で戦うモロッコは2連敗で一足先に大会を去ることが決まっていたため、この日のイラン戦は「とにかくどんな形でも勝てばいい」試合となった。
スペインは前節ポルトガル戦からスタメンを2人入れ替えた。初戦でスーパーゴールを決めたDFナチョに代わり、右サイドバックは負傷明けのDFダニ・カルバハルが務める。そしてMFコケがベンチスタートとなり、FWルーカス・バスケスが右ウィングに入った。
初戦のモロッコ戦に勝利していたイランは、試合開始の瞬間から完全に引き分け狙いでスペインの攻撃を受け止めた。基本フォーメーションは[4-2-3-1]だが、ボールを奪われた瞬間に全員が自陣に引き、スペインの両サイドバックが高い位置を取ると右サイドMFのメフディ・タレミが最終ラインまで下がって[5-4-1]を形成してゴール前を徹底的に固めた。
この守備的な姿勢は時間を追うごとに強まっていく。5バック気味では足りないと感じたか、早い段階で守備陣形が[6-3-1]に変化していた。もはやスペインが使えるスペースはゴール前にはなくなっていた。
もちろんイランにとって、スペイン戦のアプローチは特殊なもの。大会初戦のモロッコ戦では相手に主導権を渡したように見せながら、強度の高い激戦に持ち込んで実は罠にはめていて、最終的に無失点に抑えた上で、後半アディショナルタイムにセットプレーから決勝点を奪って勝ち切るという巧者ぶりを見せつけた。
そこから短期間で全く異なるスタイルを披露して見る者を驚かせたが、肝心のスペインは全く焦っていなかった。
スペインのビルドアップはピッチの幅を広く使い、円を描くように前進していく。2人のセンターバックと両サイドバックら6人から7人で外周を形成し、その円の内側に3人〜4人がローテーションしながら入って細かくパスを繋ぐことで相手のマークをずらし、ブロックを左右に広げ、アタッキングサードにスペースができたタイミングで一気にゴールへ襲いかかっていく。