ベスト8ですら失敗。フランスに課された使命
【フランス代表】
FIFAランキング:7位(2018年6月)
監督:ディディエ・デシャン(2012年~)
6大会連続15回目の出場
最高成績:優勝(1998年フランス大会)
欧州予選グループA 1位通過
ロシアワールドカップにおいてフランス代表がベスト4進出を逃せば、それ即ち失敗である…。そんな言説がまかり通るほどに、彼らを取り巻く状況は「優勝」への期待に満ち溢れている。
グループリーグで対戦するのはオーストラリア、ペルー、デンマークの3ヶ国。いずれも特色のある曲者ぞろいではあるが、見方を変えればグループCはフランスの一強状態。首位での決勝トーナメント進出は最低限のミッションといったところだろうか。
そして、フランスの魅力はどのポジションにもタレントが揃ったスカッドにある。ディディエ・デシャン監督は23人のワールドカップ出場メンバー選びに最後まで頭を悩ませたに違いない。某紙が特集した「落選イレブン」のメンバーが豪華すぎて、方々から羨む声が続出した。
予選ではスウェーデンに敗れ、ベラルーシやルクセンブルクといった明らかな格下と引き分けたことで思わぬ苦戦を強いられたが、ワールドカップ本大会直前のテストマッチではアイルランドを2-0で下し、イタリアは3-1で粉砕。最後はアメリカと1-1で引き分けたが、負けなしでロシアに乗り込んできた。
彼らが武器とするのは柔軟さである。これまでは4-2-3-1をベースに複数のシステムを使い分け、格下相手にはハイプレッシングからの強烈カウンター、強豪相手には低い位置にコンパクトな守備ブロックを形成して攻撃を受け止めてからのカウンターといった多様なプランを披露してきた。
もちろんボールを動かしながらの遅攻もお手の物で、試合によってボールポゼッション率が60%を超えることもあれば、30%台のこともあるなど、蓋を開けてみるまでどんな試合になるかわかりづらい面白さもある。
そんなフランスの目の色を変えたのが3月のコロンビア戦だった。2点リードから3ゴールを奪われての逆転負けで、火が点いた。特に競争が激しくなったのが中盤だ。若いコランタン・トリソが一気に台頭し、もはやポール・ポグバですらも安泰ではなくなった。
前線ではキリアン・ムバッペやウスマンヌ・デンベレが牙を研ぎ、アトレティコ・マドリー残留を表明したアントワーヌ・グリーズマンが2年前のEUROに続く得点王を狙う。彼ら豪華攻撃陣の活躍と、攻守に貢献できる中盤の奮闘がかみ合えば20年ぶりの世界の頂点も夢ではない。