ようやく現れたスーパースター
「Ibrahimovic demutigt Leverkusen」(2014年2月18日付Kicker電子版)
「イブラヒモビッチがレバークーゼンを辱める」
いつでも役者は人を待たせる。試合後のミックスゾーンは、ドイツ人記者とフランス人記者の熱気で溢れ帰っていた。トプラクは青ざめた表情で通り過ぎ、ライナルツは憔悴しながらもドイツ人記者に応対する。
その一方で、マテュイディはサバサバと、チアゴ・シウバは白い歯を覗かせながら、フランス人記者に応えていた。そして待ち人来ずかと思われた、もう日付も変わろうとする頃、ようやく男は現れた。やれやれ、といった表情で、ズラタン・イブラヒモビッチは、数台のテレビカメラの前に立った。
2014年2月18日、欧州チャンピオンズリーグ13-14シーズン、決勝トーナメント1stレグ、ドイツの雄レバークーゼンは、フランス王者パリ・サンジェルマンを迎え撃つ。
押し掛けたパリっ子たちのおかげで、少し華やいだ空気が夜に輝くバイアレーナのあたりを覆った。耳慣れないフランス語が飛び交う。血気盛んな若者が「パリ・サンジェルマン? パリ・サンジェルマン?」とこちらにちょっかいを出してくる。
ゲームはパリがレバークーゼンに対して圧倒的なチカラを示した。開始してわずか3分、マテュイディが早くも先制弾を叩き込む。パリ側のゴール裏では爆竹が打ち鳴らされ、火薬の匂いが漂う。
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