アーセナルで評価下げるもイタリアで開花
2018年5月、ユベントスのジャンルイジ・ブッフォンが退団を表明した。そしてそのラストイヤーは見事、7連覇で終わることができた。
もっともその最後の一年で公式出場は38試合、リーグ戦の出場は21試合に抑えられている。年齢が考慮されたことに加え、冬には筋肉系の故障で2ヶ月近く戦列を離れていたこともあったからだ。
それでもユベントスが安定して戦えたのは、優秀な第2ゴールキーパーの存在があってのことである。それも、単なる控えGKではない。他のクラブであれば第1GKであってもおかしくない、国際経験豊かな名手だ。
ヴォイチェフ・シュチェスニー 。アーセナルのアカデミーから第1GKへと登りつめたポーランド人GKだ。体格に恵まれた一方で、敏捷性も顕微。守備範囲が広く、際どいコースを突いたシュートも弾き出す。
アーセナル時代には凡ミスを多かったが、彼は今別物の安定感を見せる。ローマで2年、そしてユベントスで1年。イタリアでGKとしての技術を向上させ、計算の立つ真の実力者となった。
転機は2015年の夏にあった。才能はアルセーヌ・ベンゲル監督に早いうちから評価され、2010年からアーセナルの正GKを務めていたものの、2014/15シーズンはダビド・オスピナに定位置を奪われた。
2015年1月、プレミアリーグ第20節サウザンプトン戦後、ドレッシングルームで喫煙をしてしたことが決定的にシュチェスニー自身の評価を下げたとされている。ただそういった素行やイメージの問題の他に、彼自身のパフォーマンスの低下も原因していた節がある。
シュートストップそのものは非常に上手かった。反射や瞬時の姿勢制御などの運動調整力が高く、一度体の逆を突かれバランスを崩された状態からも、瞬時に手や足を伸ばしてボールへと伸ばす。
ただ、プレーには穴も多かった。飛び出してボールを奪おうとすればよく失敗し、ボールを蹴れば味方ではなく敵のいる地域に蹴り込み、さらなるピンチを招くこともあった。