スイス代表はハリルが残した最後の壁
スイス代表は、日本代表がロシアワールドカップ本大会のグループリーグで対戦するどの国とも異なった戦い方をするチームである。だが、FIFAランキング6位という位置づけからも分かる通り、日本から見れば明らかな格上であり、世界の舞台でどれほど実力が通用するのか測るにはもってこいの相手だ。
そして、現地時間8日にスイスのホームで行われる親善試合は、ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督が日本のために残した最後の“遺産”とも言うべきものでもある。
スイス代表のウラジミール・ペトコヴィッチ監督は、7日の記者会見で「ハリルホジッチ氏とは昨年12月にモスクワで会って、この試合について話し、すぐに決めた」と明らかにした。2人はモスクワで行われたロシアワールドカップの組み合わせ抽選の際に会って、本大会直前のテストマッチ開催を決めていたのだ。
日本代表は最新のFIFAランキングを参考にすれば、ロシアワールドカップ出場国の中で下から3番目の評価となっている。当然、グループリーグで対戦するコロンビアやセネガル、ポーランドは格上ということになり、主導権を握られた中での戦いが予想される。
スイス代表は、ボールを奪ったら前線のストライカーまで素早く展開しようとするグループHの3ヶ国とは違った持ち味のチームだが、90分を通して試合の主導権を握ろうとする戦い方は、ワールドカップ本番を想定した良いシミュレーションとなるだろう。
ロシアワールドカップの欧州予選で、スイスはグループ2位となりプレーオフに回った。しかし、予選では最終節のポルトガル戦に敗れるまで9勝無敗。そのうち6試合が無失点で、ホームではポルトガルに2-0と完勝を収めていた。
2年前に欧州王者に輝いた相手とも互角に戦えた背景には、安定した守備力がある。スイスは4-2-3-1を基本布陣とし、守備時は4-4-1-1あるいは4-4-2のブロックを動かしながらゾーンディフェンスで相手のボールを絡め取る。
前線から激しくプレッシャーにいくわけではないが、1トップが守備のスイッチを入れて方向を定め、徐々に狭いエリアへと追い込んでボールを奪う。ある意味「待ち」の姿勢だが、熟成された組織力で全体を緻密に動かせなければ、このような守備は破綻しかねない。