3バックのメリットとデメリット
ロシアワールドカップ本大会の初戦まで約3週間というタイミングで迎えたガーナ代表との一戦で、西野朗監督は3バックという新しい戦い方にトライしました。ですが、試合を通じて3バックというシステムのメリットやデメリットがチームにうまく共有されていなかった印象を受けました。
例えば、ガーナ戦の先発メンバーを見ると、どうしても5バックのようにならざるをえないことがわかってきます。3バックの中央に入った長谷部(誠)選手は、中盤エリアの守備では最大限の力を発揮できますが、ゴール前の競り合いに強いタイプの選手ではありません。
そうなると相手が蹴ったロングボールなどに対し、左右のセンターバックの選手が競りにいき、長谷部選手がカバーに回る形になるため、ガーナ戦でいえば、吉田(麻也)選手や槙野(智章)選手が、内側にポジションを取らなければなりません。
すると3バックの左右に生まれるスペースを埋めるため、両サイドのウィングバックの選手も必然的に下がらなければいけないので、5バックのような形になってしまいます。サッカーではどんな形にもメリットとデメリットが存在し、5バックも例外ではありません。
もちろん5バックで守ることのメリットは、ピッチの横幅を5人でカバーし、その前に立つダブルボランチの選手と、両サイドに開く2シャドーの選手を合わせた9人でゴール前の守備を固められます。
ところが[5-4]のブロックでゴール前のスペースを消して粘り強く守ろうとすると、前線に1人しか残らないので、相手のセンターバックは常にフリーでボールを持てる状態になります。そうなると多くの選択肢を持った相手に対し、あらゆる可能性を考慮しながら守備をしなければならないため、どうしても遅れ気味の対応を強いられてしまうデメリットが出てきます。