主導権を握るための3バック導入
西野朗監督が率いる日本代表は26日から本格的なチーム練習に入り、新布陣[3-4-2-1]のトレーニングを行った。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督は一度も採用しなかったシステムだが、このまま30日のガーナ戦でその実用性をチェックして、ロシアワールドカップ本大会のプランに生かす方向性のようだ。
つまり、まだ[3-4-2-1]が基本システムになると確定したわけではないが、最終メンバーが決まる前日のガーナ戦で採用されれば、当然ながらその選考にも大きく関わってくると予想できる。ただ、ひとくちに3バックといっても監督のコンセプトによって戦術が変わる。
浦和レッズで3バックに慣れている槙野智章も「浦和の3枚はちょっと置いといてほしいです」と前置きしながら「僕はボールを持って前線に駆け上がることはないと思いますし、守備はマッチアップする選手に対してガッチリいけるシステム」と語る。
「僕みたいに(クラブで)特殊な3枚をやっている選手もいるし、オーソドックスな吉田選手、長谷部選手と、そういうやり方の選手もいる。長友選手もインテルで3枚を経験していることを言っていました。ただ、みんながやり方違うので、しっかりと意思疎通を図ることっていうのが大事だと思う」
まだチーム全体でイメージをすり合わせている段階だが、今のところ見えてきているのはできるだけ3バックを維持して、後ろが簡単に5枚になってしまわないようにしたいということ、そして“シャドー”と呼ばれるポジションの2人がワイドに引っ張られて下がらないようにしたいということだ。
[3-4-2-1]は流れに応じて[5-4-1]に可変しやすい。後ろを5枚にして、シャドーの選手がサイドハーフの位置に開いて下がれば割と簡単に守れてしまう。そうした傾向について酒井高徳は「3バックのメリットとデメリットのところですよね」と語る。守れても高い位置でボールが取れず、前に厚みをもたせられない状況が続くと、主導権を放棄したような状態になってしまうわけだ。