西野監督が求める3バック像とは
10人のフィールドプレーヤーが、4分の1ほどに狭められたピッチに散らばっていく。千葉県内でスタートさせた国内合宿の6日目にして、初めて行われた戦術的なトレーニング。最終ラインに目を移せば、槙野智章(浦和レッズ)と吉田麻也(サウサンプトン)が左右に大きく開いていく。
そして、第2次岡田ジャパン時代の2008年5月から、実に10年間にわたってボランチを務めてきた長谷部誠(フランクフルト)が、槙野と吉田の間にポジションを取った。初陣となる30日のガーナ代表との壮行試合(日産スタジアム)を前に、西野ジャパンが26日に初めて3バックをテストした。
4月7日に電撃解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ前監督が指揮した38試合において、3バックで戦ったことは一度もない。時計の針をさらに巻き戻して3バックを探していくと、後半の途中から十数分間だけトライした、ザックジャパン時代の2013年11月のベラルーシ代表戦までさかのぼる。
しかし、右ひざの故障で離脱したMF青山敏弘(サンフレッチェ広島)を除いた、今合宿に招集した26人の選手全員が初めて顔をそろえた前日25日に、西野朗監督は3バックに関して「それも考えています」と明言。一夜明けた練習で、主力組と見られる選手たちを3バックでプレーさせ続けた。
現役時代はクロアチア代表のボランチとして活躍したニコ・コヴァチ監督のもと、長谷部は2016/17シーズンから3バックの中央で新境地を開拓。地元紙から「高いサッカーIQとクオリティーで、ハイレベルのパフォーマンスをコンスタントに発揮している」と称賛されたこともあった。
その長谷部を含めて、ボランチでプレーできる選手が今月18日のメンバー発表時で実に8人を数えた。長谷部を1列下げた新たなシステムを視野に入れているのでは、と思われたなかでついに指揮官が動いた。慣れ親しんだ4バックから、3バックにスイッチする意図はどこにあるのか。
この日の練習のほとんどで主力組の左ストッパーを務めた槙野は、「浦和の3枚はちょっと置いておいてほしいです」と、サンフレッチェおよびレッズで長く経験してきた3バックとは一線を画すと強調した。
「代表で求められる3枚の仕事は、攻撃のところよりも守備のところだと思っています。僕がボールをもって前線へ駆けあがることはないと思いますし、守備のところで言えば、マッチアップする相手選手に対してガッチリといけるようなシステムだと思っています」