1年前はW杯でレギュラー当確と見られたが…
ロシアワールドカップ本大会に向け、21日からスタートした日本代表候補合宿も3日目に突入。合流が遅れていた井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ)、槙野智章・遠藤航(ともに浦和)、東口順昭(G大阪)の4人が23日から合流し、右太もも前打撲でここまでの2日間続けて室内練習を行っていた乾貴士(エイバル)も初めてグラウンドに姿を見せた。
現段階の乾はランニングもできない状態だが、30日のガーナ戦(日産)には合わせるつもりでリハビリに努めているという。左足首負傷の岡崎慎司(レスター)もまだ完全合流には至らないが、練習の強度は日に日に上がっている。2人の代表での生き残りは今後の経過しだいと言っていいだろう。
サバイバルという意味では、この日加わった井手口も当落線上にいる存在だ。21歳の若きダイナモは、豪快なミドルシュートを決めた昨年8月31日のワールドカップアジア最終予選・オーストラリア戦(埼玉)時点で、ロシアでのレギュラーは当確と目された。
ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督も絶大な信頼を寄せ、11月のブラジル(リール)・ベルギー(ブルージュ)2連戦も続けてスタメンに抜てき。12月のEAFF E-1サッカー選手権(東京)でも軸に据え続けた。その初戦・北朝鮮戦で井手口は値千金の決勝ゴールをゲットしている。1-4で惨敗した最終戦・韓国戦でも孤軍奮闘が大いに目立った。そのパフォーマンスを目の当たりにした日本代表OBの松井大輔(横浜FC)も「相手と互角に戦えていたのは井手口くらい」と高評価を与えていた。
順調なステップアップを遂げていると見られた男のキャリアが暗転したのは、今年1月にスペインへ赴いてから。言葉の通じない異国でのプレーは想像を絶するほど難易度が高かった。この5ヶ月間でスペイン2部リーグのピッチに立ったのは、わずか5試合107分間のみ。
出場機会の少ない選手がプレーできるリザーブリーグもなく、実戦感覚やコンディション面が大いに懸念される事態に直面した。それを重く見た前指揮官は3月のマリ戦とウクライナ戦(リエージュ)で代表選外という厳しい判断を下す。「自分が試合に出ていなかったので、特別な気持ちはなかった。外れると思っていたので」と本人もその扱いに納得していたようだ。