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日本代表 7年前

大切な“お笑い担当”槙野智章の原点。挫折とともに歩んだキャリア、憧れ続けたW杯は目前

日本代表に国内組の選手たちが合流しはじめた。その中には、初めてのワールドカップ出場に向けて意気込むDF槙野智章の姿もあった。昨年はクラブでアジア王者にもなった31歳が、ついにあこがれの舞台への挑戦権を勝ち取ろうとしている。(取材・文:藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images

初めてのW杯出場へ。槙野智章が思うこと

槙野智章
槙野智章が日本代表合宿に合流した【写真:Getty Images】

 あとちょっと手を伸ばせば届く場所に、夢が近づいてきた。8年前よりも、そして4年前よりも、憧れ続けてきたワールドカップの舞台がはっきりと見える。しかも、最終ラインの一角に先発として名前を連ねる可能性も極めて高い。それでも、槙野智章(浦和レッズ)が浮き足立つことはない。

「もちろん、アピールしたい気持ちは人一倍強いんですけどね。状況的に考えれば、各ポジションでサバイバルがあると思っているので」

 千葉県内で行われている日本代表合宿に、槙野は初日から2日遅れとなる23日に合流した。あいにくの雨のなか、レッズのチームメイトのDF遠藤航らとランニング中心のメニューを約1時間消化。終了後の取材エリアで思わず本音を漏らすと、直後にこんな言葉を紡いだ。

「日本人のよさというか、日本代表の良さというのは個人が輝くものではなく、チームが輝いてこその個人だと感じているので。自分がアピールするよりも、どうすればチームが上手くいくのか、そのために自分が何をしなければならないのかを、まず考えていくことが必要だと思っているので」

 国際サッカー連盟(FIFA)に提出された、35人のワールドカップ予備登録メンバーのなかから27人が今合宿に招集されている。そして、西野ジャパンの初陣となる、ガーナ代表との壮行試合(日産スタジアム)から一夜明けた31日には、正式メンバーの23人に絞り込まれる。

 まさに運命のカウントダウンが始まった。一方で日本代表は大きく揺れ動いてきた。選手たちとのコミュニケーションや信頼感が薄れたという理由で、ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督が電撃解任されたのが4月7日。後任に就いた西野朗新監督のもと、初めて迎える活動が今合宿となった。

 23人のなかに生き残りたい。4年に一度巡ってくる、サッカー界最大の舞台で戦いたい。だからといって、アピールだけに走りたくはない。さまざまな思いが交錯するなかで、ロシア大会前では国内最後の戦いとなるガーナ戦でしっかりとした日本を見せなければいけない。

「このチームの色と雰囲気を早く感じ取って、短い時間のなかで、ガーナ戦までにチームのピースに合うようにやるだけだと思っています」

 自らに言い聞かせるように、槙野は言葉に力を込めた。敵地でガンバ大阪とスコアレスドローに終わった、19日の明治安田生命J1リーグ第15節後に3日間のオフを取った。両親の祖父母が眠る島根県へ足を運び、一世一代の舞台に立つことを誓いながら英気を養い、身心をリフレッシュさせた。

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