西野朗監督が「ポリバレント」に込めた意味を改めて説明した【写真:田中伸弥】
日本代表は21日、千葉県内で今月30日の国際親善試合・ガーナ戦に向けた合宿をスタートさせた。
初日に集まったのは先週末までにシーズンを終えて帰国した海外組の10選手。負傷を抱えるFW岡崎慎司以外はランニングやボール回し中心のメニューを約1時間半にわたってこなした。
練習後、取材に応じた西野朗監督に「ある言葉」についての質問が飛んだ。それは「ポリバレント」の真意についてである。
西野監督は先週18日の記者会見でガーナ戦に向けた日本代表メンバー27人を発表したが、その中で2度「ポリバレント」という言葉を使い、それが選考基準の1つになっていることを示唆していた。例えば、今回メンバー入りを逃したFW中島翔哉は「彼はポリバレントでは、1年間なかった」と指摘された。
指揮官は「他のポジションでも追跡していたが」と含みを持たせ、「バランス」を考えて中島を招集外にしていた。ポルトガル1部で二桁得点と二桁アシストを同時に達成した唯一の選手となり、好パフォーマンスを披露していた選手の落選とともに、「ポリバレント」という言葉の意味も注目を集めたのである。
「先日言った『ポリバレント』というのは、間違いなく『複数のポジションをこなせる』ということ。本当に大事なことで、こういう(ワールドカップ)本大会に向けては、そういう選手が必要になる」
記者から「ポリバレント」の意味について問われた西野監督は、このように答えた。だが、「ただ、全員がポリバレントでなければいけないということでは、自分自身ないと思っています」と付け加える。
今回、日本代表から攻撃で際立った特徴のある選手を外したことについては「決して『ポリバレント』がないから外したと言ったわけではなくて、競争の中で、選択肢の中で選ぶことができなかったということ」と改めて説明した。
中島がポジションを争うことが想定される2列目の攻撃的なポジションには、役割の似通ったMF原口元気やMF乾貴士、MF宇佐美貴史だけでなく、MF香川真司やMF本田圭佑、FW浅野拓磨らの起用も考えられる。ワールドカップに向けた選手選考では彼らとのバランスが考慮されたようだ。
ただ、グループリーグ3試合が短期間で行われるワールドカップでは「いろいろな対応力が必要」と西野監督は強調する。やはり「ポリバレント」は西野ジャパンにおいて「間違いなく必要な要素」のようだ。
(取材・文:舩木渉)
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