中島翔哉は帰国後の取材でワールドカップへの意欲を語っていたが…【写真:舩木渉】
日本サッカー協会は18日、今月末30日の国際親善試合ガーナ戦に向けた日本代表メンバーを発表した。
西野朗監督が選んだリストには、27人の名前が記されていた。しかし、そこに3月の欧州遠征で日本代表デビューを飾り、ポルトガルでも充実の1年を過ごしたFW中島翔哉の名前はなかった。
中島は昨年夏にFC東京からポルトガル1部のポルティモネンセに移籍し、すぐにレギュラーポジションを勝ち取った。欧州挑戦1年目ながらリーグ戦で10ゴール12アシストという好成績を残し、日本代表にも選ばれた。
またFC東京からポルティモネンセへの完全移籍も決まり、来季に向けてさらなるステップアップも噂されている段階。まさにキャリア最高の時期を迎えていながら、ロシアワールドカップ出場はかなり厳しい状況となっている。
先日、ポルトガルから帰国した中島は取材に応じ、明るい表情で「1年間ポルトガルでプレーして、すごく楽しかったですし、成長もできたと思います。すごくいいチームで1年間プレーできてとてもよかった」と今季を振り返っていた。
日本代表でのワールドカップ出場も「選ばれたら本当に日本のためにプレーしたいと思っていますし、個人的には楽しんでいいプレーをして、日本の力になれれば」と心から楽しみにしているようだった。
3月に初めてA代表でプレーし、「代表のチームメイトには本当に経験もあって、能力のある選手がたくさんいて、プレーしやすい環境だった。試合に出られればいいプレーをしたいと思っていますし、チームメイトと協力すれば本当にいいサッカーができるんじゃないか」と手応えを感じていた様子。
2年前のリオデジャネイロ五輪で指導を受けた手倉森誠監督(現A代表コーチ)を「僕にとって大事な監督」と語り、A代表でともにワールドカップを戦うことを楽しみにしているようだった。
切れ味鋭いドリブルと得点力でジョーカー的な活躍も期待されていながら、無念の日本代表落選。西野監督はロシアでのワールドカップ本大会に向けて「基本的にはこの27名から」選ぶと明言しており、追加招集で世界の舞台に立つことも難しい状況になってしまった。
西野監督は中島について「1年間ポルトガルリーグで非常に結果を出した選手ではあります」と一定の評価はしながらも、「彼は1年間ポリバレントではなかった」「バランスの中で今回選出はしませんでした」と落選理由を説明した。
ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督は、中島の得点力に期待してA代表に抜てきした。しかし、西野監督がガーナ戦に向けたメンバー発表会見で日本代表メンバーに求める資質として強調したのは「ポリバレント」であることだった。そういった意味で、ポルティモネンセでは左ウィングでプレーすることがほとんどだった中島は、新指揮官から「ポリバレントではない」という厳しい評価を受けることとなった。
充実の1年を過ごし、結果と自信を手にモチベーション高くワールドカップに向かうはずだった23歳は、キャリア最高の時にキャリア最大の無念を味わうことになったと言えるかもしれない。
(取材・文:舩木渉)
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