キーワードは「信頼」。FC東京が絶好調
今季のFC東京は守備的な戦いをするのだろうか。
J1開幕直前のプレシーズンマッチで初めてFC東京の戦いぶりを見て、そう感じた。今季から指揮を執る長谷川健太監督は堅牢な守備組織の構築に長けた指導者というイメージもあり、どうしても守りに比重を置いたチームという印象だった。そして全体の噛み合わせの悪さも見てとれた。
ところが、今はもはや別のチームのよう。守備的な側面よりも攻撃面での充実ぶりは目を見張る。J1開幕戦から3試合連続で勝ち星に見放され、スタートは最悪。それでも10節消化時点の順位表では、サンフレッチェ広島に次ぐ2位につけている。そして総得点「16」はヴィッセル神戸と並んでリーグ最多タイだ。
シーズン初勝利を挙げた第4節の湘南ベルマーレ戦から4連勝。セレッソ大阪には敗れたものの、第9節の清水エスパルス戦で勝利を取り戻すと、第10節では首位・広島に今季初黒星をつけた。
FC東京の攻撃が噛み合い、結果に繋がり始めた要因の一つは2トップの固定化にある。開幕当初はディエゴ・オリヴェイラと前田遼一が組んでいたものの機能しきらず。第5節のガンバ大阪戦で初めて試合開始から採用されたディエゴ・オリヴェイラと永井謙佑のコンビがハマった。
特に充実ぶりが目立つのは柏レイソルから期限付き移籍で加入したディエゴ・オリヴェイラである。このブラジル人FWは、ここまでリーグ戦全試合に出場して7ゴールを奪うなど大車輪の活躍を披露する。広島戦でも2ゴールを挙げ、ついにJ1得点ランキング首位タイに立った。完全に前線の柱としての地位を確立している。
2016年に来日したディエゴ・オリヴェイラは、1年目こそリーグ戦30試合に出場して12ゴールと輝いたが、昨季はベンチスタートの試合が増え、活躍は限定的だった。結果的に27試合出場5ゴールという成績で、先発出場はちょうど半分ほどの13試合のみと不完全燃焼に終わっていた。
では、FC東京移籍でなぜここまでパフォーマンスが向上したのか。すでに昨季を上回る7ゴールを奪っているブラジル人FWが語るキーワードは「信頼」である。
「今年と昨年では、試合に出ている数が違うのは見てもらえばわかると思う。残念ながらレイソルにいた時は、おそらく監督から自分に対しての信頼が薄かったために試合に出られなかった。今年は、長谷川監督が僕だけでなくチームを信頼して、自信を持たせてくれているので僕が試合に出られるし、結果も出ているのだと思う」