G大阪が崩せなかった湘南のDF陣
試合終了のホイッスルが鳴り響くと、何人かの選手たちはピッチにしゃがみ込んだ。明治安田生命J1リーグ第10節でガンバ大阪をホームに迎えた湘南ベルマーレのイレブンは、最後までハードワークを徹底し、1-0の勝利を掴み取ったのである。
「今日は選手の勝ちたいという思いが非常に強かった」
試合後の会見でチームを率いる曹貴裁監督はこのように話している。
この日は前半からボールを持たれる時間が多かった。前節、セレッソ大阪とのダービーマッチで勝利を挙げたG大阪は勢いそのままに、果敢に裏のスペースを狙うなどかなり攻撃的に出ていた印象だ。
だがそれ以上に湘南のDF陣は集中していた。チャレンジとカバー、自由に動き回る倉田秋や遠藤保仁のマークの受け渡しの部分でも一切隙がなく、試合中盤からは相手の攻撃陣を完全に停滞させた。
逆に相手が前のめりになったのをみて素早いカウンターを仕掛けた。サイドで多くの人数をかけ数的優位な状況で相手の脇から崩しにかかると、これが功を奏し、前半16分に菊地俊介のゴールが生まれた。
これで勢いに乗った湘南は、ボールを奪うと連動した動きで手数をかけず相手ゴール前まで迫り、何度もGK林瑞輝を襲った。前半の内に2、3点決まってもおかしくない内容のゲームをホームチームは展開したのである。事実、45分間で喫した被シュート数はわずかに2。それに対し放ったシュート数は10本という圧巻のスタッツだった。
「前半の戦いがもったいなかったですね」
遠藤保仁がこう語るように、後半はG大阪も段々と攻撃のリズムを生めるようになってきた。
「できるだけ繋いでいこう」というレヴィー・クルピ監督のハーフタイムの指示通り、長短のパスを織り交ぜながら湘南のゴール前まで迫る場面を何度か作り出した。それでも最後の最後まで集中を切らさなかったDF陣を崩すことはできなかったのである。