スペインのマルディーニ
「パオロ・マルディーニがもしスペイン人だったら、FWかMFでプレーしていただろう」
イタリア人はよくそう言っていた。長身で均整のとれた体格、スピード、パワー、巧緻性のいずれも優れ、インテリジェンスがあってテクニックもいい。そんな才能の塊のような選手がイタリアではDFとしてプレーする。最も優れた才能を守備に使うのがイタリアの文化であり、スペインなら疑いなく攻撃に使うはずだという話である。
ところが、セルヒオ・ラモスはDFになった。
センターバックとサイドバックのどちらもできるのはマルディーニと似ている。パワーと体格が必要なセンター、先天的な能力であるスピードが要求されるサイド、どちらも難なくこなせるところに彼らの逸材ぶりが表れている。
「完璧なDFだ」
ACミランではマルディーニのチームメートで監督でもあったカルロ・アンチェロッティはレアル・マドリーでラモスに出会い、マルディーニそっくりだと言っている。どちらも偉大なキャプテンで、勝者のメンタリティを持つ。ただ、大きな相違点が1つだけある。ラモスはリーガ・エスパニョーラの最多退場記録保持者なのだ。
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