出場機会を求めて。あえての2部移籍
4月15日に行われたドイツ・ブンデスリーガ2部のハイデンハイム戦。フォルトゥナ・デュッセルドルフの背番号25、原口元気はいつもの左サイドではなく、セカンドトップの位置で先発した。
ロウヴェン・ヘニングスの背後で動き回りながらのプレーは、ゴールを渇望する彼の求めるものと一致する。前半から思い切ったミドルシュートを放つなど、得点への意欲を強く押し出した。
だが、3月の代表ウイーク明けからデュッセルドルフの堅守に綻びが見られるようになり、不用意な形から次々と失点を重ねていく。同僚の宇佐美貴史が一矢報いるゴールを挙げたが、最終的に1-3で完敗。3連敗という苦境に陥ることになった。原口自身も1月末に新天地に赴いた直後の1月27日のカイザースラウテルン戦でPK弾を決めてから得点がない。そこは本人にとって最も悩ましいところだろう。
ヘルタ・ベルリンで約1年間に渡って出番を失っていた彼にとって「コンスタントな出場機会」というのは何よりも重要なものだった。短い冬期休暇を終えて今年の元日にドイツに向かう際も「優先順位として一番上にあるのがワールドカップなんで、そこを見据え、第一に考えて決断したい」とキッパリ言い切ったほど、ロシアへの思いは強かった。
ドイツ国内外から移籍オファーが届く中、原口はあえて2部のデュッセルドルフ行きを決意する。最大の理由はフリームヘルト・フンケル監督からの高評価。この指揮官はフランクフルト時代に高原直泰(沖縄SV)を指導し、二桁得点へと導いた実績がある。
原口にも同じような非凡なセンスを感じ取ったからこそ、獲得に強くこだわったのだろう。移籍直後の1月24日に行われたアウエ戦でいきなりピッチに送り出したのを見ても、大きな期待が色濃くうかがえた。原口自身も前述のカイザースラウテルン戦で1得点1アシストと結果を残したことで「ここでやっていける」という確信を得たはずだ。