ゴールは決めた。だが勝利はできなかった
すでにグループリーグ敗退が決まっていた川崎フロンターレは、これまで公式戦の出場機会が少なかった選手がピッチに立った。だが、決して消化試合ではないという空気感は前半の入りを見れば明らかだった。
開始早々の2分、齋藤学のシュートのこぼれを鈴木雄斗が押し込んで先制に成功。連動した守備で相手の攻め手を潰し、ペースを握り続ける。
43分には赤崎秀平が相手を引きつけてパスを送ると、長谷川竜也が切り返しから左足でゴールネットを揺らす。「トラップでいいところに置けた」と長谷川は振り返った。
ところが、後半に入ると流れは一転。47分、50分とたて続けに2点を奪われ、試合は振り出しに戻った。結局、2-2のままタイムアップのホイッスルを聞くことになった川崎Fは、未勝利のままAFCチャンピオンズリーグを去った。
「普段出ていない選手がやってやろうという気持ちもあり、雰囲気が良かった。自分の結果もそうですけど、チームとしての結果がほしかった」
長谷川はミックスゾーンでこう語った。ゴールを奪う活躍を見せた。しかし、チームを勝利に導くことができなかったという悔しさが上回っていた。
順天堂大学から入団し、今季はプロ3年目のシーズンだ。昨季はジョーカーとしてコンスタントに出場機会を得ており、リーグ優勝に貢献。大宮アルディージャとの最終節では戴冠を揺るがないものにする5点目を記録した。
クラブの歴史に名を刻んだ長谷川だったが、今季はピッチに立つ機会が多いとは言えない状況である。大久保嘉人がFC東京から復帰し、齋藤学も横浜F・マリノスから加入した。現有戦力も代表クラスが居並ぶ中、24歳は虎視眈々とチャンスを伺う立場だ。
だからこそ自身の結果はもちろん、チームの勝利がほしかった。望んだふたつのものを手に入れることはできなかったが、長谷川にとって大きな糧になったのは間違いない。