印象悪かったセーフティなボールキープ
待っていたのは、激しいブーイングだった。アップをしていたパッツィーニが呼ばれ、交代を示されたのは10番。本田は、スタンド中に響く怒号と指笛のなかでグラウンドを後にした。
ミラニスタもインテリスタも、基本的にサン・シーロの観客は厳しい。イタリアの明日を担う若手の一人エル・シャラウィ(現在は故障で戦線離脱中)だって、コンスタントに結果が出るまでは結構なブーイングにさらされてきた。まあ、選手なら誰もが通る道である。
問題は、どういうところが不満に映ったのかということだ。ボローニャ戦の本田については、早くボールを動かし、チャンスを作ろうとしていなかったことが彼らの不満に繋がっていた。ボールを保持し、パスコースがないと判断すればキープをし、セーフティなポジションにいる選手に渡す。そこで、前半からブーイングにさらされた。
ロストは避けたのに厳しいのではないか、という印象もしたのだが、これが2回、3回と続くと、確かにフラストレーションが募る。チャンスを作れないことをファンは問題にし、翌日のメディアでも「本田は悲惨」(トゥットスポルト)と批判の大合唱、負け試合の戦犯と同然の評点が付けられていた。
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