湘南ベルマーレがライザップの傘下に
指導者の道を歩み始めた2000年以降に積み重ねられてきた軌跡が、組織論、育成論、そして蹴球論の3章に分けられ、1冊の本となった。チョウ・キジェ監督が選手たちに対して注いできた情熱を再現するように綴られたその著書が、ライザップグループと湘南ベルマーレを結びつけることにひと役買っていた。
交渉が大詰めを迎えていた今月初旬。神奈川県平塚市内で、RIZAPグループ株式会社の瀬戸健代表取締役社長、株式会社湘南ベルマーレの眞壁潔代表取締役会長、水谷尚人同社長、そしてベルマーレを率いて7シーズン目になるチョウ監督を交えた会談の場が設けられた。
ライザップグループからは、筆頭株主の株式会社三栄建築設計(本社・東京都新宿区、小池信三代表取締役社長)と設立した合弁会社を通じてベルマーレへ出資。合弁会社の連結子会社とする先に見据える2つの目標を、ベルマーレの経営陣には伝えていた。
しかし、「2020シーズンまでに達成する」と最終的には定められた目標の1つ目には、「国内三大タイトルのいずれかを獲得する」と明記されている。ゆえに現場の思いをどうしても確認しておく必要があったと、ライザップグループの松岡洋平・グループマーケティング推進室室長は明かす。
「基本的には会社同士の話ですし、シーズンもすでに始まってしまっていたので、チョウ監督と直接お話するのはできるだけ(今回の)話が公開されてからにしたかったんですけど、実際に交渉が佳境に入ってきたときに、現場の方に本気の目標としてコミットしてもらうことが必要だと考えました」
会談に臨むうえで、チョウ監督の考え方や指導方針などを事前に知っておく必要があった。平塚市内における会談に出席し、合弁会社とベルマーレの両方に役員として名前を連ねる予定の松岡室長は「事前にチョウ監督の本もすべて読みました」と明らかにしている。