柴崎が見せた創造性。数少ない前向きな収穫に
日本代表の欧州遠征2試合目となる27日のウクライナ戦は1-2で敗れ、マリ戦に引き続き勝利を逃す結果となった。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が本当の意味で対戦相手をイメージしながらチームを作り込んでいくのは5月からスタートする最終合宿に入ってからとなるが、現時点ではその素材となる選手のベースに不安が大きいのは確かだ。特にマリ戦より組織のオーガナイズが改善された中で、ウクライナという好チームを相手に能力差を露呈する結果となった。
ただ、素材探しで収穫がなかったわけではない。2試合を通して新戦力の中島翔哉が攻撃のオプションとして明確な違いを生み出したこと、大島僚太がマリ戦で負傷交代するまで攻守に渡って質の高いプレーを披露したことはポジティブだった。さらに興味深いプレーを見せたのがウクライナ戦でトップ下を担った柴崎岳である。
パフォーマンスを評価すればワールドカップ本大会出場メンバー入り確定と言えるまでの結果を出すことはできなかった。だが、相手を見ながら、より適した選択肢を探してプレーしていた選手だったのは間違いない。前線からのディフェンスをこなしながら、コンビネーションがもう1つ噛み合えば大きなチャンスにつながるシーンを作り出すなど、ハリルジャパンに不足していた攻撃のクリエイティビティを出しかけていた。
難しかったのは、その柴崎に至る組み立てのところで相手のディフェンスを越えられないシーンが多かったことと、柴崎が持ったところから周囲とイメージが合い切らなかったことだ。トップ下の柴崎はボランチから組み立てる大島とも個人技で相手をはがす中島とも違い、周りとのコンビネーションが生命線になる。
「もうちょっと攻撃のところは詰める必要があるかなと思いますし、うまくいってない部分があるにせよ、良い部分をどう増やしていくか。別にうまくいってないわけじゃないシーンもあるので、そういうところを何が原因でうまくいってないのかを追求していこうかなと思います」