表れた地力の差
【日本 1-2 ウクライナ】
日本とウクライナはよく似た戦い方を志向していた。堅固な守備からの速攻が狙いだ。ベースと個々のクオリティで上回ったウクライナの順当勝ちとはいえ、前回のマリ戦よりも日本は良いプレーをした。
この時期の強化試合で手の内をすべてさらすことはない。とくに日本のような立場のチームは相手を分析しての対策が重要になってくるので、例えばウクライナを相手にポーランド用の戦術を試したわけではない。もちろん手の内を隠すためにデタラメをやるわけではなく、想定されるいくつかの戦い方の1つはやっているわけだが、従来のベースから外れない範囲だった。つまり主に選手のテストである。
とはいえ、軸になる7人はほぼ決まっていて、先発のポジションでいえば2枠ほどの競争だろう。具体的には川島永嗣、酒井宏樹、吉田麻也、槙野智章、長友佑都、長谷部誠の6人は確定的。山口蛍もメンバーには入るだろう。FWの左も原口元気か乾貴士、CFは大迫勇也か杉本健勇かの選択なので、決まっていないのはMFのポジションが1つか2つ、あとはFWの右サイドになる。
右サイドバックのバックアップは不安材料しか出てこなかった。マリ戦の宇賀神友弥に続いてウクライナ戦の酒井高徳も不安定だった。トップ下のポジションを争った森岡亮太と柴崎岳はどちらも大きなインパクトは残せず、今回招集外の香川真司、清武弘嗣にチャンスが残された格好だ。右ウイングの久保裕也と本田圭佑も同様の状態といえる。
最大の収穫は中島翔哉。限られた時間内で確実に爪痕を残した。スーパーサブとしての資質は十分。ウクライナ戦ではセカンドトップ的に中央で起用された。このポジションで起用された候補がすべて保留状態なので、ここに中島が食い込んでくる可能性もありそうだ。