岐路に立つ日本女子サッカー。新たなパートナーと再出発
いま、日本女子サッカー界は岐路に立たされている。なでしこジャパンのワールドカップ優勝から7年経ち、代表も国内リーグもかつての勢いを完全に失ってしまった。
特になでしこリーグの現状は深刻と言わざるをえない。世界一に輝いたワールドカップの前年、2010年のリーグ全90試合の平均観客動員数は912名だったが、なでしこジャパンの活躍が起爆剤となって1試合で2万人以上の観客を集める試合も出るようになった。
しかし、ロンドン五輪でのなでしこジャパンの銀メダル獲得以降は減少傾向に転じ、代表チームがリオデジャネイロ五輪出場を逃したことでさらなる打撃を受けた。なでしこリーグ3連覇中の日テレ・ベレーザでさえ2016年は1134人だったホームゲームの平均観客動員数が、2017年には1039人にまで減少。リーグ全体を見ても、いまや観客動員数はワールドカップ優勝前の水準に近づきつつある。
また、テレビ放送が激減したこともリーグ戦の観客動員数に影響しているかもしれない。2017年はリーグ全体の放映権を取得した組織がなく、継続的な全国ネットなどでのテレビ放送はなかった。2016年までは存在していたインターネット上での配信もなくなり、INAC神戸レオネッサがクラブ公式サイト上で展開していたライブ配信以外にはほとんど映像で試合を視聴する機会がなかった。消費者がなでしこリーグに触れ、ファンを獲得する機会を失っていたのである。
そんな中、今月21日に開幕する2018シーズンのなでしこリーグは1部リーグの70試合がインターネット上でライブ配信されることになった。新たにパートナーシップを結んだのは「mycujoo(マイクージュー)」という日本ではほとんど馴染みのない企業。オランダの首都アムステルダムに本拠地を置く“救世主”は、いかなる組織なのか。
電話での取材に応じてくれたmycujooのコミュニケーション担当を務めるラファエル・モルグリス氏は、同社の成り立ちについて「非常に個人的な思いから生まれた」と明かしてくれた。
mycujooが立ち上げられたのは2014年のこと。創設者はポルトガル人の双子の兄弟だった。そのうちの1人、ペドロ・プレサ氏が母国のボアヴィスタというクラブの大ファンだったが、2009年から2014年にかけて過去の八百長問題に対しての処分などの影響で3部リーグに降格していた同クラブの試合を視聴することができず困り果てていたという。