母国サッカー界における2つの重大な時
イングランドでは、主要タイトルの中で最も軽く扱われがちなリーグカップ。タイ系スポンサーの名を冠し、抽選まで早期ラウンドはアジアで行われた今季は、正式名称の「カラバオ・カップ」ではなく、「サムシング・カップ(何ちゃらカップ)」と巷で呼ばれて軽量感が強まってもいた。
しかしながら、2月25日のウェンブリー・スタジタムでマンチェスター・シティがアーセナルを下した決勝(3-0)は、事実上、母国サッカー界における2つの重大な時を告げたと言ってもよい。
1つは、ペップ・グアルディオラ率いるシティ帝国の誕生だ。試合後、「タイトルを手にすると、もっと優勝しなければ気がすまなくなる」と言っていたのは、監督として自己通算19度目の主要タイトル獲得を果たした現シティ指揮官。
決勝を前に、ウィガンに番狂わせを演じられた6日前のFAカップ戦に触れた際、「リーグでの敗戦の方がまだマシだった。大会から敗退してしまったのだから」と語り、タイトル獲得へのこだわりを表現していたのもグアルディオラだった。
そのグアルディオラのシティとして初の優勝を味わったチームは、国内外四冠の夢が潰えた悔しさも相まって、27節終了時点で2位マンチェスター・ユナイテッドに16ポイント差と、急ブレーキさえかからなければ固いプレミアリーグ優勝、前週の第1レグでバーゼルに大勝(4-0)し、8強入りが決まったも同然のCLでのクラブ史上初優勝へと、自信はもちろん、執念にも似た意欲を高めているに違いない。