アンデルレヒト移籍。いきなりぶつかった“常勝”の壁
森岡亮太がプレーする姿を実際にスタジアムで観たのは昨年7月、ルーベン(ベルギー2部)とのプレシーズンマッチだった。ワースラント=ベフェレンに移籍したばかりの森岡のパファーマンスは、ひと目で「モノが違う」と分かるレベルの高さだった。
「良い年齢(26歳)になってきた。もちろん、ここが最終地点ではないと思うので、ステップアップとしての1年にするつもりで来ました。どれだけここで結果を出して、また次のステージへという位置づけでやってます」
あの時、そう語ってくれた森岡は、たった半年でアンデルレヒトへのステップアップを果たしてしまった。久御山高校、ヴィッセル神戸、シロンスク・ブロツワフ、ベフェレンを経て、森岡は26歳にして初めて「勝利を義務づけられたクラブ」で戦うことになったのだ。
しかも、背中に「10」という数字を付けて――。べフェレンでリーグ戦7ゴール11アシストという素晴らしい成績を残した森岡に対するアンデルレヒトの期待は大きかった。
森岡のアンデルレヒトでのデビューマッチは2月4日のメヘレン戦だった。開始10分には、森岡が左足の素晴らしいクロスからシルヴェール・ガンボウラのゴールをアシストした。初戦でいきなり“結果”を残したのだから、森岡にとって“これ以上ない最高のデビュー”と普通なら評価されるだろう。
しかし、アンデルレヒトは違う。20分過ぎからパフォーマンスを落とし、試合終盤にはPKも失敗した森岡は「いい出来ではなかった。森岡はまだまだ時間がかかる」と厳しい評価を受けてしまった。
翌節、オーステンデ戦でも森岡の出来は芳しくなく、ハーフタイムにはテレビ解説者のボブ・ペータースが「いったい、森岡はどこにいるんだ!?」と酷評していた。この夜、70分でベンチに退いた森岡は、続く16日のシント・トロイデン戦でスタメンの座を失ってしまった。しかも、この間のアンデルレヒトの成績は1分2敗という常勝チームにあるまじきものだった。