勝利によって見えてくるもの
「我慢の時間が長くなると思う」
FC東京の長谷川健太監督は、浦和レッズ戦に向けてこう話している。AFCチャンピオンズリーグ王者を迎える青赤には、粘り強さが求められることになりそうだ。
もっとも、『耐える』ことへの素地はすでにチームにある。17日に行われた横浜F・マリノスとのプレシーズンマッチで、FC東京は1-0で勝利を掴んだ。公式戦ではないとはいえ、無失点での勝利は価値のあるものだった。GK林彰洋は言う。
「相手はかなり変則的にやってきて、非常にやりづらかった。そんな中でも、苦しみながら勝てた。『今年違うな』って思ってくれたファン・サポーターの方もいると思うし、僕らとしてもああいう展開でも守れるようになったという手応えはあるので。これに驕らず、慢心せずに、継続して迫力と強みを出していけたらなと思っている」
FC東京は10年以上、味の素スタジアムで浦和に勝てていない。守護神も「鬼門と呼ばれる浦和レッズが相手なので、そこを叩けるようにしたい」と話す。そして、その嫌な流れを払拭することで「今年の自分たちが思い描いている道というのがやっと見えてくると思う」と意気込んだ。
今週の練習では、前線の動き出しに呼応しパスを供給する形も確認。前田遼一とディエゴ・オリヴェイラの2トップが予想されるが、彼らはパスを呼び込む動きに長け、決定力も備えている。2人が前線で起点となれれば、相手を押し込むシチュエーションを作れるのではないか。
中盤の左サイドに入ると思われる東慶悟はこう語る。
「(2トップの)動き出しがはっきりしていてわかりやすいので、そこに出してあげることが大事。見えているかどうか。見えていて出せないのか、見えていなくて出せないのかでは全然違う。しっかり見てあげる、というのは前の選手からしたらすごく動きやすいと思う」
統一された意識の下で行う堅い守備と素早い切り替えからの攻撃は、今季のFC東京の特徴となる。プレシーズンで得た手応えをさらに強固なものとするためにも、勝ち点3奪取は必須である。
(取材・文:青木務)
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