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時間と空間操る左足。ベルナルド・シルバ、マンCが誇るプレーメーカー型ウイング【西部の目】

マンチェスター・シティでプレーするポルトガル代表のベルナルド・シルバ。シティを率いるペップ・グアルディオラ監督は、左サイドに左利き、右サイドに右利きのウイングを配置することもあるが、左利きのベルナルド・シルバは右サイドに配置されている。モナコでブレイクを果たしたプレーメーカー型レフティーが逆足ウイングとして生み出す「違い」とは。(文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

逆足ウイングは今日もナナメ

マンチェスター・シティのベルナルド・シルバ
マンチェスター・シティのベルナルド・シルバ【写真:Getty Images】

 アルゼンチンの10番を背負ったアリエル・オルテガはドリブルの名手だった。ある日、ある人がこう言った。

「オルテガは切り返すときに“オ”の字になるんですよ」

 オルテガの「オ」になっているというのだ。両腕を広げて右足でボールを抱え込むときのオルテガは、確かに「オ」を体現しているようにみえた。それからというもの、オルテガを見るたびに「オ」になっているかどうか気になって仕方なくなってしまった。

 ベルナルド・シルバは、だいたい右サイドで斜めになっている。

 左利きの右ウイング。左足でボールを引きずるようにキープするときのベルナルド・シルバの体は右へ傾いていて、いかにも左足のアウトで切り返しますよという持ち方だ。実際、左のアウトで切り返すことが多い。それでいてほとんどボールをとられない。

 切り返す前に、左足で切り返すようなフェイントを入れているので、いつ本当に切り返すのかわかりにくいからかもしれない。また、うっかり足を出すとそのまま縦に抜けられてしまうこともある。体が傾いているぶん懐が深い持ち方になっていて、切り返しを予測して足を出すとスルリと縦へ持ち出されてしまう。

 ペップ・グアルディオラ監督は、マンチェスター・シティでは順足のウイングを使っていた。右は右利きのラヒム・スターリング、左は左利きのレロイ・ザネ。縦へ突破して低いクロスを大量生産することで得点を生み出している。ちなみにバルセロナやバイエルン・ミュンヘンを指揮していたときのウイングは逆足ウイングだった。

 利き足とサイドが同じ場合は、縦への持ち出しからのクロスが使いやすい。縦への突破は相手ディフェンスラインを動かすことを意味するので、GKとDFの間を狙うクロスや戻っていくDFの手前を狙ったクロスなど、攻め手が広がりやすい。

 一方、利き足とサイドが逆の逆足ウイングはカットインしてのシュートが狙いやすい。ベルナルド・シルバもカットインからのシュートが上手いが、むしろ武器は切り返した直後に左足から繰り出すクロスボールである。ピンポイントで合わせられる精度があり、切り返した瞬間にはもう照準を合わせている。

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