「食事改革」実行に至った経緯
前半と後半とで、ジェフユナイテッド千葉がまったく異なる顔をのぞかせた。昨シーズンから継続しているハイライン&ハイプレスが機能した前半は、両サイドからのカウンターだけでなく、真ん中からの崩しでも敵陣に迫った。一転して後半は足が止まり、特に最後の15分間で立て続けに失点した。
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)のプレーオフを先月30日に戦った関係で、早目に仕上げていた柏レイソルとスコアレスで折り返した前半。そして、4度もゴールネットを揺らされた後半。4日にホームのフクダ電子アリーナで行われた、恒例のちばぎんカップで見せたあまりにも激しい落差を、キャプテンのDF近藤直也はある意味で想定内だったと受け止めている。
「全員がキャンプで45分間しか実戦をやっていないので。初めての90分間ということで、まず(最後まで)もたないだろうな、というのがみんなのなかにあった。とりあえず前半から飛ばしていって、どこまでできるか。そういう意味で前半はそれなりに手応えがありましたし、だからこそ良い形のときにしっかり点が取れていれば、というところがありますけどね」
ハイリスク&ハイリターンと置き換えることもできる、日本サッカー界のなかでも異彩を放つ戦い方だけではない。昨シーズンから指揮を執るアルゼンチン人のフアン・エスナイデル監督のもと、ジェフにはさまざまな改革のメスが入れられてきた。
ピッチを離れた部分で言えば、クラブハウスや遠征先で提供される食事が全面的に変えられた。メインのおかずは魚か、もしくは牛肉あるいは鶏肉の一品のみ。それも脂身はすべてカットされたうえで素焼きされたものが出され、パスタもゆでるだけ。極めつきとして白米が玄米へと変更された。
「いま現在の状況に慣れてしまったので、何をどう変えたのかよく覚えていないくらいだ」
指揮官は人懐こい笑顔を浮かべながら、他のJクラブではまず見られないと言っていい、微に入り細の食事改革に至った経緯を振り返る。すべては就任間もない昨年1月、沖縄でのキャンプ中に出された食事内容が始まりだった。
「驚いたというか、これは違うと思った。サッカーのように、ハイパフォーマンスが求められるアスリートが取る食事として、僕が理解しているものとは違うと気がついたからこそ変えた。消化が遅くなるようなものは避けたし、その分だけ野菜やフルーツを摂取させるようにした。
サプリメントを取らなくても、ビタミンを摂取できるメニューもそろえた。一日に必要な栄養分を、回数を分けて食べることで消化をよくする。そういう意味で食事の回数も4回に変えた。現役時代の経験を、僕はジェフの選手たちにすべて伝えたいと思っているので」