調査開始後初となる観戦者の若年化
スタジアムへ足を運ぶファンやサポーターの平均年齢が、毎年1歳ずつ上がっていく。ほぼ固定された層に支えられ、若年層を中心とした新規のそれらを取り込むことができなかったJリーグの危機的な状況を示す数字に、ようやく大きな変化が生まれた。
29日に発表された2017シーズンのスタジアム観戦者調査のサマリー。J1およびJ2の来場者の平均年齢は41.7歳と前年比0.1歳増にとどまり、特にJ1は2016シーズンより0.7歳若い40.1歳と、調査を始めた2004シーズン以降で初めて前年比でマイナスとなった。
2014シーズンの39.9歳から2015シーズンは40.8歳と初めて40歳を超え、一転して2016シーズンは横ばいで推移。ついに減少に転じた状況を、東京・文京区のJFAハウスで開催されたメディア報告会に臨んだJリーグデジタルの出井宏明専務執行役員は笑顔で歓迎する。
「平均年齢が下がったといっても、いままで支えてきてくれた40代、50代の方々がいなくなったら困りますし、これからもずっとスタジアムに来ていただきたい。今回はリーグ全体の来場者数が増えて、年配層がそのまま維持されているなかで若返った点で、非常によかったと思っています。
平均年齢が毎年1歳ずつ上がってきたということは、新しいファンやサポーターの流入が少ないということを意味しています。若年層が少ない状況がJリーグの課題として長く存在してきましたし、若年層が来てくれているかどうかの指標のひとつとして平均年齢を見てきたので」
2017シーズンの調査は昨年4月29日から9月23日までの間で、各クラブが指定したホームゲームにおいて、スタジアムを訪れた11歳以上の男女計1万7638人に対して集合配布形式のアンケートを実施。97.2%の有効回答を得た。
J1全体の観客動員数を比較すれば、2016シーズンの549万8222人から昨シーズンは577万8178人へ増加。J1が18チーム体制となり、年間306試合が開催されるようになった2005シーズン以降では、580万9516人を記録した2009シーズン以来の高い数字をマークしている。
要はコアなファン・サポーター層がそのまま推移し、一方ですべてとまでは言わないものの、増加した約28万人の多くを若年層が占めた結果として、平均年齢が0.7歳減となった。