長友佑都のベティス移籍は実現するのか【写真:Getty Images】
インテルで出場機会の確保に苦しむ日本代表DF長友佑都にスペイン移籍の可能性が浮上した。伊『スカイ・イタリア』の報道をきっかけに、スペイン大手メディアも取り上げ始めている。
移籍先として伝えられているのはベティスだ。キケ・セティエン監督のもと、攻撃的なパスサッカーを標榜するリーガ1部の中堅クラブで今季は20試合終了時点で12位につけている。同クラブは負傷者などがいるサイドバックの層に不安を抱えており、今冬の補強ポイントになっていた。
そこで長らく獲得候補筆頭として報じられてきたのが、ポルトガルの名門ポルトで定位置を失っているメキシコ代表DFミゲル・ラユンである。左右両足を器用に使いこなし、両サイドバックを遜色なくこなすポリバレントな29歳はベティスが最後まで追い続ける最優先ターゲットだとスペイン紙『アス』は伝えている。
しかし、加入目前と言われながらラユンの契約交渉はまとまっていない。そのためメキシコ代表DF獲得失敗に備えた次善策が長友ということになるようだ。ベティスはアントニオ・バラガンが負傷離脱中、さらにBチーム所属で本来はウィングのフランシス・ゲレーロが右サイドバックを務めることもあるなど最終ラインが人材不足に陥っている。
そのため、ラユンの獲得に動いたことからも分かる通り、最終ラインで左右両サイドをこなせることを新戦力の能力として重視している。長友もその条件にはピタリと当てはまる。
とはいえ長友には「日本人」であるがゆえの障害も残されている。ラユンは自身の出身地であるメキシコ国籍に加えて、父方の祖父がスペイン出身のためスペイン国籍も保有している。それによってEU圏内選手として扱われ、スペインでの選手登録に支障はない。
一方の長友は「EU圏外枠」の選手として扱われる。リーガでは各クラブが保有するEU圏外国籍選手の数に制限はないが、ベンチ入りと出場は3人までに制限されているため、長友にベンチ入りあるいは出場の権利を保障するには現有戦力の放出が不可欠になる。
ベティスにはEU圏内のパスポートを持たない選手として、パラグアイ国籍のアントニオ・サナブリアとコスタリカ国籍のジョエル・キャンベル、コロンビア国籍のフアン・ナルバエスが在籍している。このうちナルバエスはスペイン2部のコルドバへの期限付き移籍に向けて交渉が進められているという。
長友を獲得するとなれば、まずナルバエスの放出を確実なものにしなければならない。またブラジルのインテルナシオナルへの期限付き移籍期間が満了となったまま宙ぶらりんになっているチリ代表MFフェリペ・グティエレスの去就も問題になる可能性がある。
ラユンの移籍交渉、EU圏外枠の調整といったハードルを越えた先に長友のベティス行きがある。冬の移籍市場で残された時間はわずか。インテル在籍8シーズン目の日本代表DFの新天地への旅立ちは実現するだろうか。
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