ずっと帰ってきたかったチーム
茨城県鹿嶋市内にある鹿島アントラーズのクラブハウスのミーティングルームへ、約8年ぶりに足を踏み入れた。視界に飛び込んできたのは壁にはられた、クラブのエンブレムがあしらわれた大きなフラッグ。魂が高ぶってくるのを、内田篤人は感じずにはいられなかった。
「18歳になる前から22歳までここでプレーさせてもらって、やっぱりアントラーズのエンブレムや旗を見ると、やらなきゃという気持ちになりますよね」
2018シーズンへ向けて、アントラーズは9日に始動した。午前中にメディカルチェックを行い、午後3時から約1時間半、ランニングやボールを使ったフィジカルトレーニング、ストレッチなどで汗を流した。内田もすべてのメニューを消化した。
「ずっと帰ってきたかったチームですし、久しぶりにこのグラウンドでアントラーズの一員として練習できるのはすごく嬉しい。懐かしくていい感じです」
ブンデスリーガのシャルケ04へ完全移籍したのは、清水東高校から加入して5年目の2010年夏。代表メンバーに選出されながら出場ゼロに終わった、ワールドカップ・南アフリカ大会から帰国した直後だった。
旅立ってから8年。ドイツの地からも常に気にかけていた古巣の顔ぶれも、大きく変わった。当時のメンバーでいまも残っているのは同じ1988年生まれのMF遠藤康と、今年39歳になる2人のレジェンド、GK曽ヶ端準とキャプテンのMF小笠原満男しかいない。2010シーズン限りで引退した大岩剛が、いまでは監督として目の前にいる。
古巣への合流を前に、いまも親しみを込めて「ヤス」と呼ぶ遠藤から不穏な話を聞かされた。
「ヤスの情報によると、若手がかなりオレにビビっているみたい。全然そんなんじゃないんだけど、今日も距離感がありましたよ。ランニングしていてパッと周りをみたら、誰もいなかったとか。ちょっと寂しい感じがしましたけど、オレ、ドイツでもそんなしゃべるほうでもなかったので。
ドイツって練習が始まったらみんなピリピリして、ほとんど無駄話をしないから、その癖がついているというか。でも、そんなにベタベタする必要はないと思いますよ。ある程度のチームワークやコミュニケーションは大事ですけど、ここは仲良しこよしのチームじゃないからね」