長友、味方DF離脱の緊急布陣で交代出場
フィオレンティーナと引き分けたインテル【写真:Getty Images】
長友佑都はフィオレンティーナ戦の75分、アンドレア・ラノッキアと交代しリーグ戦でも久々の出場を果たした。しかし1-0でリードしていたチームは、アディショナルタイムに同点弾を喰らってドローに終わる。長友はその失点に絡んでいたわけではなかったが、対面の選手に1対1で抜かれるなどのピンチも招いており、必ずしも印象の良いパフォーマンスとはいえなかった。
この日長友は、2枚目の交代枠選手として使われた。インテルはフィオレンティーナの速攻からサイドを突かれて、右に左に振り回されていた。その修正のため、ルチャーノ・スパレッティ監督は65分にまずダウベルトを投入する。機能していなかった中盤を1枚削り、左サイドバックとして先発していたダビデ・サントンを右に回し、右で先発していたジョアン・カンセロを一列前に上げた。しかしここでさらなるアクシデントが発生し、スパレッティ監督はディフェンスラインに再度手を加えなければならなくなった。
筋肉系の故障を押して出場していたセンターバックのラノッキアが、痛みを訴えた末にギブアップ。このポジションにはただでさえ人がいないところに、ミランダが故障離脱中。スパレッティ監督は長友を呼んだ。そして彼を右サイドバックに投入し、センターバックとしても練習させていたというサントンを中央に回した。ようは緊急布陣だったのである。
長友は、当然のごとく守備重視のプレイ。カンセロに後ろからコーチングをしながら、乱れ気味だったサイドの組織守備の立て直しに務めた。途中長身のママドゥ・ババカルをぶつけられながらも破綻はきたさず、チーム共々逃げ切りの体制には入っていたのである。
ところが、逃げ切りはならなかった。インテルの攻撃陣がカウンターから追加点を狙えるチャンスをミスで2、3度潰すと、フィオレンティーナは前線を4枚に増やして最後の猛攻を掛けた。長友が守る右サイドには、これまで逆のサイドでサントンやダウベルトを振り回していたフェデリコ・キエーザが回ってきた。
俊足のストライカーとして名声を博した父エンリコ譲りのスピードに、左右両足を遜色なく使える器用さも兼ね備えた20歳の若者は、中に外にと切り込んでくる。87分、味方が失ったボールを拾われ、裏のスペースに突っ込まれて1対1での対応を強いられた長友は、あっさりかわされてエリア内への侵入を許した。味方のカバーによって事なきを得たものの、これでフィオレンティーナの勢いにスイッチが入ってしまった。