名古屋グランパス加入の可能性が報じられている元ブラジル代表FWのジョー【写真:Getty Images】
名古屋グランパス移籍が濃厚と見られている元ブラジル代表ジョーは、いかにして今季のブラジルリーグで最高のパフォーマンスを発揮できたのか。同国メディア『グローボエスポルチ』が5つのポイントを挙げて分析している。
アトレチコ・ミネイロ時代の2014年から2015年にかけて、ブラジル全国選手権1部の2シーズンでわずか1得点と低迷し、UAEリーグや中国リーグへの移籍でもパッとせず。当時から度重なる飲酒トラブルやナイトクラブへの出入りなど、私生活の面で問題を抱えて“終わった選手”とみなされていたところから、ブラジル1部で得点王とMVPを獲得するまでキャリアが好転したのには5つの要因があったという。
それは「経験」「決定力」「チーム内でのアイデンティティ確立」「不摂生をやめる」「低コスト」の5つである。
ジョーはブラジル代表としてW杯に出場したこともあって国内でよく知られた選手であり、海外での経験もあって、まもなく30歳を迎える。その「経験」によってコリンチャンスのリーダーとなり、ファビオ・カリーレ監督率いるチーム内でキャプテン的役割も任される責任感を持ち始めた。
もともと持ち合わせていた「決定力」がついに開花したとも言える。今季はブラジル1部でフルミネンセのエンリケ・ドラードと並ぶ18ゴールを奪って得点王に。ジョーにとってキャリアハイの数字であると同時に、二桁得点もアトレチコ・ミネイロ時代の2012年以来、5年ぶりだった。
またジョーはコリンチャンスの下部組織出身であることも重要だったという。自らがクラブの象徴としての役割を持っているという「チーム内でのアイデンティティ」を確立することで、アレーナ・コリンチャンス(ホームスタジアム)を家のように感じ、クラブとジョー自身のつながりの重要性を理解することがプレーに反映されたようだ。
これまで夜遊びや過剰な飲酒などが問題視されていたものの、今季は私生活を正して「不摂生をやめる」ことで公式戦64試合に出場した。現役ブラジル代表GKカッシオに次ぐ、チーム内2番目の多さで、年間を通して良好なコンディションを維持してフル稼働。この姿が若手たちの模範となったと分析されている。
さらにコリンチャンスにとっては、「低コスト」で高パフォーマンスを発揮したことも自慢だったようだ。同時期にパルメイラスが3200万レアル(約10億円)かけて獲得したコロンビア人FWミゲル・ボルハ(6得点)や、サンパウロが約2000万レアル(約6億8000万円)を費やしたアルゼンチン代表FWルーカス・プラット(7得点)よりも、今年1月のコリンチャンス復帰時には一切移籍金がかかっていないジョーの今季のコストパフォーマンスが良かったのは明らかである。
しかし、ジョーは深刻な財政難に苦しむ愛するクラブのために、批判を浴びながらも日本へ去る可能性が高い。資金のやりくりが限界を迎え始めているとも言われているコリンチャンスにとって、名古屋が約束した1100万ユーロ(約15億円)という移籍金は断り切れるものではなかったのかもしれない。
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