確立されたインテル攻略法を完璧に実践したサッスオーロ
サッスオーロ戦に敗れたインテル【写真:Getty Images】
インテルが連敗を喫した。1-3で敗れた前節のウディネーゼ戦に続き、今度は今シーズン調子の上がらなかったサッスオーロ相手に負けた。
「チームとして良いパフォーマンスはできていたはず。運がなかったんだと思う」。ロベルト・ガリアルディーニは地元メディアにそう話していた。確かにシュート数は彼らが上回り、支配率は70%に達し、敵陣内でプレイしていた時間帯も当然のように長かった。だが、悪い内容の試合を制して勝ち点3を得たのがこれまでの姿なら、この日は逆になっていた。
「攻撃面ではもう少しやれたと思うが、守備面ではパーフェクトだった」。インテル陣営が頭をかかえる一方で、敵将のジュセッペ・イアキーニ監督は胸を張った。インテルの敗北は、攻撃を続けながらゴールを割ることが出来なかった彼らの失態、というだけではない。サッスオーロも敵の強みを消すための組織守備をきちんと練りこみ、攻撃の精度を奪ったという背景があったのだ。それは即ち、インテルの攻略法が戦術的に確立されているということの証左でもあるのだ。
イアキーニ監督が重視したのは次の2点。組み立ての源泉となる2ボランチにプレスを掛けて自由にさせないことと、アントニオ・カンドレーバとイバン・ペリシッチの両ウイングをしっかり挟んでしまうことだ。この2点は、これまでの相手も重視してきたところだが、やはりサッスオーロもそこを徹底してきた。
まずボランチを封じるに当たって、イアキーニは4-3-3の両ウイングのポジションに変更を与えた。右のドメニコ・ベラルディ、左のマッテオ・ポリターノを、守備の際は2シャドーのように中央に絞らせたのだ。そこでまず、きっちりガリアルディーニとボルハ・バレーロにプレッシャーを掛け、プレイを遅らせた。
中央の守備は彼らが受け持つので、中盤のインサイドMFは主にサイドバックのヘルプに回り、右でカンドレーバを、左でペリシッチを挟みこむ。最終ラインはしっかりと引き、インテルにボールを持たせる形で前方におびき寄せながら、コンパクトな距離感を保った上で上記のような役割をそれぞれがこなした。
その結果、攻めるインテルのスピード感は削がれた。中央のパスコースは消され、仕方なくサイドに展開しても、左右両方に人数が掛かっている。カンドレーバもペリシッチも、それぞれタッチを余計に増やしてスピードが上げられなくなっていく。当然中央のマウロ・イカルディは、センターバック2枚が集中を切らさず守り、アンカーのフランチェスコ・マニャネッリはまさにDFライン前のリベロとして、最終ラインのフォローに入って守備を堅くする。
こうして、インテルの攻撃の精度は削がれた。14本のシュートも、その殆どがコースのないところを強引に放ち、精度に欠けたものだった。