勝利した北朝鮮戦。後半途中から採用された「2トップ」
EAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会(E-1)の初戦、日本は朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)と対戦した。前半は強固な守備のブロックから相手DFの背後にボールを蹴り込む北朝鮮に苦しみ、攻撃のリズムも掴めず。後半は日本が盛り返したものの、北朝鮮のディフェンからなかなかゴールを奪えず、最後のワンプレーかという時間帯に右サイドのボール奪取から鮮やかにつなぎ、最後は井手口陽介が決めて1-0で勝利した。
ホームとはいえ慣れないメンバー、しかも相手の徹底した対策にはまる形で、A代表デビュー戦だったGK中村航輔の活躍がなければ前半から後半の立ち上がりに失点を喫し、もっと苦しい展開になってもおかしくなかった。そうした状況から何とか自分たちのペースに引き戻し、勝利で終えられたことは“Jリーグ選抜”から“A代表”に成長する転機となるかもしれない。
さて、その後半だがヴァイッド・ハリルホジッチ監督は1つ大きな選択をした。[4-2-3-1]のトップ下を務めていた高萩洋次郎に代えて伊東純也を右サイドに投入。小林悠を右サイドから中央に入れ、金崎夢生と縦の2トップを形成させたのだ。守備のメカニズムを含め、形としては[4-2-3-1]のままだが、攻撃面では実質的な2トップとなった。
前半はチーム全体が攻撃リズムを取れない状況で、金崎、小林、高萩の関係が悪い意味であいまいになり、周囲の選手もボールの収めどころを見出せなくなっていたが、配置を換えてからいきなり左サイドの倉田秋のクロスに小林が飛び込んで受ける形でチャンスを作ると、今度は右の伊東が鋭い仕掛けからのクロスでコーナーキックを獲得するなど、いきなりチームのスイッチが入ったような状況になった。
さらにセンターバックの谷口彰悟を起点に、伊東の鮮やかなスルーから右サイドバックの室屋成がクロスを惜しくも相手ディフェンスにカットされる場面が続く。サイド攻撃が明確になった状況でボランチの井手口陽介から相手ディフェンスの背後を狙う金崎にロングパスが通りかけたところをGKリ・グァンミュンに間一髪で対応された。サイド攻撃が機能したことにより、中央で裏を狙う攻撃も効果を発揮し出した。