日本代表は後半アディショナルタイムに井手口陽介(右)がゴールを奪って北朝鮮に辛勝【写真:Getty Images】
日本代表は9日、EAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会の初戦で朝鮮民主主義人民共和国代表(以下、北朝鮮代表)と対戦し、最終盤のゴールで辛くも1-0の勝利を収めた。
直前に韓国対中国の試合が行われたこともあり、多くの韓国メディアも日本代表の一挙手一投足に熱い視線を送っていた。試合終了後『SPOTV』のハン・ジュン記者に日本の印象を尋ねると「日本は組織的ではなかった」と分析した。
「ハリルホジッチ監督が話していたように、戦術練習をしっかりできなかったみたいで、いつものような日本の特徴を発揮できていなかったと思う。日本の強みはパスをつなぐことで、十分な練習ができていなければ、ああいった試合展開になるのは論理的なことだ」
ヨーロッパでプレーする選手やクラブW杯に参加している浦和レッズの選手たちを招集できなかったため、日本代表はオール国内組の編成になっている。A代表経験の浅い選手も多く、コンビネーションのスムーズさに欠けていた。
ハン氏は北朝鮮代表が日本を脅かすほどの力を発揮することを「かなりやるだろうと予想していた」とも語る。その理由はこうだ。
「北朝鮮の金正恩が大のサッカー好きとして知られているし、若手の育成にも力を入れている。ヨーロッパ人のコーチを平壌のユースアカデミーに招いているんだ。その結果としていい選手が成長してきているし、スペインやイタリアに選手を送り出しているよね。技術レベルも年々上がっていると思う。そして代表チームは毎日かなりのトレーニングを積んでいる」
北朝鮮代表のヨルン・アンデルセン監督は、記者会見で自身の契約に「選手たちを1日2回トレーニングさせられる」ことが盛り込まれていることを明かした。実際に北朝鮮代表は平日は毎日2部練習雨、そして週末にそれぞれの所属クラブに戻って試合に出場する生活を送っているという。
ハン記者はこの強化手法が、かつてW杯で結果を残したあるチームに似ていると感じている。
「まるで2002年の頃の韓国代表のようだ。当時の韓国代表もチームとしてのトレーニングにかなりの時間を割けていた。平日は毎日顔を合わせて、週末にクラブへ戻って試合をする形だった。今の北朝鮮は日韓W杯当時の韓国と同じで、あれだけできたのはロジカルなことだよ。それが日本との違いになっていた」
日本は北朝鮮に何度もビッグチャンスを作られながら、終盤のゴールでなんとか勝ちきった。しかし、この苦戦は両チームの状況を考慮すれば必然だったのかもしれない。
(取材・文:舩木渉)
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