イタリアはW杯予選敗退も…喪失感かき消すセリエA上位争い
ロシアW杯の出場国に名を連ねることができなかったイタリアだが、予選敗退の喪失感を埋めるかのように(?)セリエAの上位争いは空前の盛り上がりを見せている。W杯組み合わせ抽選会の行われた1日、第15節でナポリとユベントスが対戦。アウェイのユーベが1-0で競り勝ち、ナポリに今シーズン初めて黒星を付けるとともに、勝ち点1差に詰めた。
ユーベの勝利を決めたポイントは、持ち味とする堅い守備組織の構成と、その中でドゥグラス・コスタを活かせたことにあった。この日は4バックでのスタート。守備の時には4-4-1-1に収縮してコンパクトな陣形をゴール前で作り、細かいパスを交換して攻めて来るナポリに対しそのスペースを潰そうという算段だ。
とりわけ重要だったのは、サイドの守備だった。左はクゥワドゥ・アサモアと、故障でトリノに残ったマリオ・マンジュキッチの代わりに出場したブレーズ・マテュイディで固める。一方で右サイドには、故障から開けたマッティア・デ・シーリオをサイドバックに置き、その前にドゥグラス・コスタを使った。対峙するナポリの左サイドは、ロレンツォ・インシーニエを軸に攻撃を回す最重要エリアだ。
ドゥグラス・コスタはスピードと高いテクニックを誇る一方で、守備への戻りは献身的と言えず、ここまで戦術的にフィットできていなかった。だがこの日は、彼の働きが決定的なものになった。13分、深く下がって守備をして、味方とともにインシーニエを挟み込んでボールを奪う。するとドリブルで一気に加速し、プレスを掛ける相手を剥がしてパウロ・ディバラへパス。加速のついたカウンターは高めに配置されたナポリの最終ラインを一気に破り、最後はゴンザロ・イグアインがシュートを押し込んだ。
そうして奪った決勝点を、全員守備で守り切った。2枚のセンターバックは中央から無闇に動かず、小兵のドリース・メルテンスに壁となって立ちはだかる。ボールが相手に渡れば彼らを中心にすぐさま陣形を引き、中央やサイドのスペースを消す。ディバラやイグアインもしっかり引いて、ジョルジーニョから縦パスを出させなかった。
高さのある相手に後ろに引かれてしまうと、ナポリにとっては不得手な展開だ。前半は左サイド以外に組み立てどころがなく、インシーニエが左サイドから仕掛けること以外にはチャンスの作りようがなかった。後半はリズムを変えて攻めに来たものの、ユーベの守備陣をうまく吊り出すことができず、攻撃を跳ね返された。
これでユーベは暫定2位浮上。3日にキエーボ戦を控えるインテルが同試合で勝てば首位浮上となるが、上位3位の後ろにはローマも差を詰めて来ている。5、6チームが例年なら優勝できそうなペースで勝ち点を稼ぐ熾烈な上位争いは、前半戦の折り返しを前にますます熾烈になって来ている。