歴史的瞬間が劇的に訪れたベネベント【写真:Getty Images】
イタリア・セリエAは今シーズン、上位陣が混戦で盛り上がりを見せている。しかし3日、それ以上の歓喜に包まれたのは最下位のベネベントだ。
ベネベントは今シーズン、クラブの歴史で初めて1部に挑戦している。だが、セリエAの壁に苦しみ、開幕からなんと14連敗。87年前のマンチェスター・ユナイテッドの開幕13連敗を抜き、欧州5大リーグのワースト記録を更新してしまった。
そんなベネベントが3日に対戦したのはミラン。不振が続きジェンナーロ・ガットゥーゾ監督を迎えたばかりだが、イタリアを代表するクラブであることは変わらない。
そんな名門相手にとてつもないことが起こった。1点ビハインドで迎えた後半アディショナルタイムにGKアルベルト・ブリニョーリがゴールを挙げて、クラブ史上初となるセリエAでの勝ち点を手にしたのだ。
ヒーローとなったブリニョーリは試合後、「負けていて失うものなんてないから上がれ上がれ、とベンチから言われて、目を閉じて本能的に飛び込んだ。FWのヘディングじゃなくて、GKのそれだったね」と振り返り、「みんなのためにうれしいよ」と喜びを爆発させている。
セリエAでGKが得点を決めたのは16年ぶり。2001年に当時レッジーナでプレーしていたマッシモ・タイービ氏がCKにヘディングで合わせている。さらに時をさかのぼると、1992年に元ユベントスGKのミケランジェロ・ランプッラ氏が当時所属していたクレモネーゼで同様のゴールを決めた。セリエAではないが、2006年には当時リボルノにいたマルコ・アメーリアがUEFAカップのパルチザン戦で、終了間際に得点を記録している。いずれにしても、頻繁に起こることではない。
創設88年で初のセリエAに挑戦しているベネベント。87年間破られることがなかった連敗記録を塗り替えてしまったが、16年ぶりのGK弾という劇的な形で初勝ち点を手にした。
次なる目標は、もちろんセリエA初白星。ようやく1部での一歩目を踏み出したベネベントは、どこまで行けるだろうか。
【了】