国内組のラストチャンス。最低限の目標は「優勝」
12月に東京で行われるEAFF E-1サッカー選手権2017 決勝大会(以下、E-1)に向け、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は日本代表メンバー23人を発表した。
今回は国際Aマッチデーではないため“海外組”は招集できず、同時期にUAEで開催されるFIFAクラブW杯にアジア王者として参戦する浦和レッズの選手も対象外に。また直前にMF山口蛍が負傷したため招集外となったが、初選出5人を含む非常にフレッシュなメンバーとなった。
ハリルホジッチ監督が“最終ストレートに入る前の最後のテスト”として位置づけることもあり、“国内組”の生き残りをかけたアピールに注目が集まるのは当然だろう。しかし、指揮官が「目標は優勝であるべき」と強調しているように、最下位に終わった2年前のリベンジを果たす意味でもホームでライバルの韓国、名将マルチェロ・リッピ監督率いる中国、さらに前回大会で敗れた北朝鮮という3ヶ国に勝利し、チームとして優勝することが何よりのアピールにつながるはずだ。言い換えれば、もし優勝できなければ個人のアピールも大きく限定されてしまう。
選手たちの置かれた状況としては2年前の大会よりむしろザックジャパン時代の4年前に韓国で行われた大会が重なる。それまでのW杯最終予選で“メンバー固定”とも言われる選手起用をしてきた当時のアルベルト・ザッケローニ監督は海外組を招集できない状況で「以前から気になっていた」と語った青山敏弘や柿谷曜一朗、ロンドン五輪世代の山口蛍などを抜てきした。
大会前は「彼らがフルメンバーのA代表に割り込むことは難しい」という意見も多かったと記憶しているが、その中で選手たちは個人のアピール以上にチームとして結束を高め、最後は“完全アウェイで韓国を破り優勝したのだ。あの時の一体感と高揚感は東アジアの大会という規模や一般的な価値を超えて、鳥肌が立つレベルだったことを覚えている。
その大会からMVPの山口をはじめ青山、柿谷、森重真人、大迫勇也、齋藤学がブラジルW杯の最終メンバーに残ることとなった。また最終メンバーに残れなかったが、その後の親善試合なのでチャンスを与えられた選手は枚挙にいとまがない。彼らにとって結果的に大きなアピールの機会になったわけだが、優勝を目指す中で自分が何をするべきかを意識してプレーしたからこその結果だろう。