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浦和のACL制覇、要因は監督交代。槙野智章「ミシャだけ、堀さんだけで獲れていない」

text by 編集部 photo by Getty Images

槙野智章
槙野智章は浦和レッズのACL制覇に守備で大貢献【写真:Getty Images】

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝2ndレグが25日に行われ、浦和レッズはホームでサウジアラビアのアル・ヒラルに1-0で勝利。そして1stレグとの2戦合計スコアで2-1とし、10年ぶりのアジア制覇を成し遂げた。

 アル・ヒラルの迫力ある攻撃を90分間抑えきった浦和のDF槙野智章は「ホッとしました」と、歓喜の後の率直な感想を述べた。「苦しい試合たくさんあったし、大会通して思ったのは、決勝トーナメント入ってから余計に感じましたけど、実力以上のものが出せたと思います」とチームの成長に手応えを感じているようだ。

 浦和は夏に監督交代に踏み切りながら、見事にアジアチャンピオンのタイトルを勝ち取った。ミハイロ・ペトロビッチ前監督の愛弟子的存在でもある槙野は「(ACLは)ミシャ(ミハイロビッチ前監督の愛称)だったら獲れていないし、堀さんだけでも獲れていないし、2人合わさってのこの結果だと思う」と強調する。

「ミシャの考えは相手どうこうよりも自分たち、というのが最初でしたけど、堀さんは相手の良さを消しながら自分たちの良さを出すというスタイル。どちらがいいということはないんですけど、タイトルを獲る、勝利に徹する戦いというのは、今のこのやり方の方が自分たちらしく結果が出せるのではないか」

 槙野は前体制からガラリと変わったチームの戦い方がACLというビッグタイトル獲得に繋がったと信じている。アウェイでの1stレグは極端に守備的な戦い方を選択し、「2戦目にいい形で持ってこれるような最低限の結果」という1-1で終え、ホームでの2ndレグで攻撃的な姿勢を見せながらも、勝利への最短経路を進んだ成果は、しっかりと結果になってあらわれた。

 守備的だった1stレグで出た「自分たちの本来の形は攻撃主体のサッカーなので、しっかりとボールを保持する時間帯を長くしなきゃいけないし、ゴールに向かう姿勢を持たなきゃいけない」という反省を、埼玉スタジアム2002のピッチで表現した。ミハイロビッチ前監督が植え付けてきた攻撃サッカーの哲学だった。

 もう1つ槙野が堀孝史監督の就任によって生まれた変化として挙げたのは「チーム内の競争意識」だった。「いろいろな選手が試されてきたし、いろいろな選手が誰が出てもおかしくないような日々の練習の雰囲気を作った」と語り、「僕自身も当たり前に出る環境ではなかった。僕にとって今シーズン監督が変わったというのはかなりのターニングポイントだったと思うし、それがいい方向にうまく気持ちを切り替えられたというのも良かった」と、監督交代がもたらした効果を強調した。

「もちろんミシャがこのチームに残していったものは、かなり大きいと思います。チームとしてもそうだし、個人的にも非常に大きなものがあった。ただその『プラスアルファ』のところ、あと少しというところが、もしかしたら大きなものだったと思うんですけど、それに対して堀さんがしっかりと選手とコミュニケーションを取って、今チームに何をすべきかというところを考えて僕たちに落とし込んでくれたのがこういう結果だった」

 監督交代によるチーム全体の取り組みと意識の変化があり、そして2人の指導者の哲学が混じり合ったことで、10年ぶりのアジア王者という最高の瞬間を味わえたのである。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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