メッシを温存するという大胆采配
引き分け以上でグループリーグ突破が決まる状況であったとは言えど、バルセロナにとって昨季のCL準々決勝で敗北した相手であるユベントスは全くもって侮れるはずのないチームであった。しかし、知将バルベルデ監督は、今季リーグ12得点と絶好調を維持しているFWリオネル・メッシをベンチに置く布陣でスタート。週末のバレンシアとの首位攻防戦に向けてエースを温存するという大胆な采配を見せた。
バルベルデ監督がそれでも勝算があると踏んだのも無理はない。今季のバルセロナは、攻守のバランスを重視した4-2-3-1の布陣を基本としており、昨季までよりも安定した結果を残しているからだ。
昨季までのルイス・エンリケ監督に率いられたバルセロナと現在のチームの大きな違いは、メッシのポジションの変化にある。右のウイングとして中央でプレーするのではなく、トップ下として中央右寄りに位置するようになったメッシは、昨季よりもより自由にプレーすることが許されている。新たに右サイドハーフの選手が配置されることで、中のスペースをより享受できるようになっているのだ。
また、それによって他の選手のポジションにも変化が生じた。昨季までのネイマールのように左サイドに張るのはDFジョルディ・アルバで、右サイドはサイドバックのDFネルソン・セメドとFWジェラール・デウロフェウが担う。ラキティッチやイニエスタら中盤の選手のポジションにも大きな変化が生じている。これらは、今季のバルセロナがボール保持時の攻撃と奪われた後の守備を高いレベルで実行できている一因となっている。
そんな新たなチームになりつつあるバルセロナだが、実は今季エースが出場しなかった試合は一つもない。故に、メッシの不在がどこまで影響を及ぼすことになるのかを知るために、この試合は大きな意義を持つものとなった。立ち上がりから積極的にボールを奪いに来るユベントスの選手を前に、バルセロナの選手は所々でミスが目立った。