千葉が土壇場で逆転。東京Vは勝利でプレーオフへ
今季のJ2最終節は全試合同じ時間にキックオフとなった。優勝と2位のチームに与えられるJ1自動昇格権の行方はすでに決し、J1昇格プレーオフへ進出する4チームのうち2チームも確定。J3降格の可能性があるチームも固まりつつあった。
レギュラーシーズン最後の試合において、最大の注目ポイントはJ1昇格プレーオフ進出の切符を手にする2チームがどこになるか。5位徳島ヴォルティス以下、東京ヴェルディ、松本山雅FC、ジェフユナイテッド市原・千葉の4チームが残る2枠を争っていた。
そして徳島と東京Vは最終節で直接対決である。決戦の地、味の素スタジアムの記者席では緊迫の展開が繰り広げられていた。他会場の動きはPCの画面の中で追う。松本が負けている。千葉も早々に先制されて、なんとか追いついた。だが、まだ徳島と東京Vがプレーオフへの切符を握り締めている。
試合が終わった。前半のうちに先制した東京Vは、後半開始直後に追いつかれたが、終盤に劇的なゴールで勝ち越して逃げ切った。目線をPCの画面に移すと、驚きの光景が広がっていた。千葉が逆転している。
目の前の徳島の選手たちは、状況を理解したようだった。8位だった千葉が逆転しJ1昇格プレーオフに進出。徳島は7位に転落してしまっていた。それは終戦を意味する。
しかし、試合展開だけを見れば徳島が圧倒していた。東京Vの内田達也が「あそこまで持たれるとは思わなかった」と語る通り、試合開始から徳島が押し込み、再三チャンスを作る。ホームチームはセットプレー、あるいはカウンターといった散発的な反撃にとどまっていた。
それでも東京Vは勝った。守備陣はしっかり耐え、チーム全体でバランスを失わなかった。途中出場だった橋本英郎は「後半に関しては、立ち上がりすぐやられたと思うんですけど、そんなに危ないシーンはもしかしたら少なかったと思う。前半の方がちょっと怖かったかな。後半はなんとなく崩せそうで崩せないところで耐えられていた分、良かったんじゃないかと思います」と振り返った。
実は彼こそが、後半にチームがバランスを保ち続け、内田の決勝ゴールを生んだ“影のヒーロー”だったのかもしれない。「普段は僕が(セットプレーで)上がろうとした時に監督から止められることが結構あった」と語る内田が、コーナーキックの場面でペナルティエリア内に入る判断を下せたのは「ハシさん(橋本)も入っていて、後ろでバランス取ってくれる選手もいた」からだった。