不思議のベルギー。人材は豊富だが…
ベルギーは不思議なチームだ。個々の能力はそれぞれ素晴らしく高い。エース格のエデン・アザールがいて、ケビン・デブライネがいる。キープ力抜群のアクセル・ヴィツェル、ムサ・デンベレ、ハードワーカーのラジャ・ナインゴラン、突破力ならヤニック・フェレイラ・カラスコ。
GKはティボ・クルトワ、控えがシモン・ミニョレ。センターバックにはアヤックス時代からずっと一緒の兄弟みたいなヤン・ヴェルトンゲンとトビー・アルデルヴァイレルト。最近は負傷がちとはいえ重鎮ヴァンサン・コンパニ、トーマス・ヴェルメーレンもいる。
ほぼすべてのポジションに穴がない。全員がハイレベルで控え選手も全く実力に遜色なし。まさに黄金世代のまっただ中。ところが、このもの凄い埋蔵量の資源をあまり有効に使えていない。
2014年ブラジルワールドカップ、2016年ユーロ、ベルギーの戦い方は同じパターンを辿っていた。最初は圧倒的なボール支配と有無を言わせぬ個人技で押し込みまくる、そして敵陣での大渋滞を引き起こす。埒が開かなくなってマルアン・フェライニを投入してハイクロスを放り込む……ポゼッションもカウンターもできるメンバーなのに、なぜか最後は原始的な放り込み回帰。それでようやく気がつく。やっぱカウンターだな!
闘将マルク・ヴィルモッツ監督、察しの悪い男。ワールドカップでもユーロでもベスト8はベルギーの歴史を鑑みればそう悪い成績ではないのだが、どちらも予選と本大会の間に気づく時間はあったはず。しかも、ブラジルワールドカップでは戦術変更で成功したというのに、なぜか2年後のユーロでは忘れていた。
カウンターをやらせたらベルギーは強い。ロメル・ルカクがいるからだ。